【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:暉峻淑子/著 出版社名:岩波書店 シリーズ名:岩波新書 新赤版 85 発行年月:1989年09月 関連キーワード:ユタカサ トワ ナニカ イワナミ シンシヨ シンアカバン 85 ゆたかさ とわ なにか いわなみ しんしよ しんあかばん 85、 イワナミ シヨテン イワナミシヨテン 0365 いわなみ しよてん いわなみしよてん 0365、 イワナミ シヨテン イワナミシヨテン 0365 いわなみ しよてん いわなみしよてん 0365 モノとカネがあふれる世界一の金持ち国・日本。だが一方では、環境破壊、過労死、受験競争、老後の不安など深刻な現象にこと欠かず、国民にはゆとりも豊かさの実感もない。日本は豊かさへの道を踏みまちがえた、と考える著者が、西ドイツでの在住体験と対比させながら、日本人の生活のあり方を点検し、真に豊かな社会への道をさぐる。 1 金持ちの国・日本2 西ドイツから日本を見る3 豊かなのか貧しいのか4 ゆと
物質的豊かさの影の労働の貧しさを鋭く指摘
★★★★☆
「豊か」と言われる日本人。しかし、仕事に忙殺されそんな実感はない。我々の持つ豊かさとは。「ゆとり」を犠牲にした貧しい労働と引き換えに得られる物理的な豊かさの意味とは。
'89当初としては、バブル期の日本社会への問題提起として新しい内容だったのかもしれないが、今では普通に若者に浸透している考え方かもしれない。
優しくない国は豊かではない
★★★★☆
日本は経済大国であるというが豊かな国ではないと著者は言う。何故なら経済力が国民の生活の豊かさには結びついていないから。格差や不公正は拡大し、基本的人権さえ守られていない。勤労者は長い労働時間に疲れきっており、労働の果実は小さく、老後のケアは貧しい。本書は古いと言われ実際書かれたのはかなり昔であるが、告発されている多くの問題は現代にも通じているし、普遍的な問題意識とすら言ってもいい。
物や金の豊かさに没入する事を批判する向きはよくあるものだ。中には豊かさ批判を保守的な価値観の強要やパターナリズムに繋げてしまう人もいるが著者はあくまで多様な生き方、多様な価値観がある事を前提しつつ多様な人々の中にも、社会的にこのような条件があればそれぞれの人が豊かな人生を生きやすくなると考えられる共通の一致点があるはずだ、その共通部分を豊かにすべきではないか、という姿勢をとる。
その共通点は何なのか。著者によればまず、豊かな社会に必要な事は社会保障、自然環境を含む社会資本を充実させる事であり、それと共に公共の福祉を守る法と制度を確実なものにする事。言ってしまえば当前の事であり今となっては何の新しさもない話かもしれない。にも関らず本書で言われるような問題は現在も猛威を奮っている。労働時間の短縮が昔も今も説かれる中、働きすぎていては人間らしい生活は不可能だと言われる中、今もがむしゃらに週六日、七日働いている人がおり、働いて寝て働いて寝てだけを繰り返す人がいる。表面上は強がっており真面目な人だと言われるがその内心はボロボロであり、生きる事に喜びや意味を見出せていない。このような人は私の知人にもいる。同じような理由から精神を病み引き篭もったり自殺したりする人もいる。本書によればヨーロッパでは住宅もまた基本的人権として保障されるというが日本のホームレスは白い眼で見られ軽蔑され罵倒され、時に焼き殺される。ネットなどを見れば「ホームレスなんか全員殺してしまえばいい」というような恐ろしい言葉も平気で飛び交っている。これが多くの人々の本音なのだとしたら、それは制度や福祉政策以前に精神から既に豊かではないと言えるのではないか。そういう考え、発想、価値観が人々に持たれてしまっている根本的に優しくない社会は、本当には豊かたりえないのだと思う。豊かな国、豊かな社会、豊かな世界というのは一体いつになったら来るのだろうか。
“豊かさ”“ライフスタイル”“国家像”−20年前の警鐘−
★★★★★
著者がこの書物の中で問い掛ける“豊かさ”の同義語と思われる言葉のイメージは“共生”“共助”そして“スロー・ライフ”であり、反対語のイメージは曾てのコマーシャルにあった“大きいことはイイことだ”“消費は美徳”“〜AS ナンバーワン”である。
著者の主張に納得できる点は幾つもあるが、その中で大きなウェイトを占めるのは“価値観”を具体的な形で政策化している国々と日本の比較であり、決してアメリカと日本の対比ではないことにある。極僅かの富裕層とその他多勢に国民を峻別する結果を招いてしまうアメリカのあり方と細かい区分に基づいて社会保障のシステムを構築してきたヨーロッパの国々、では政府に対する国民の信頼感の上では雲泥の差があることに間違いはない。
他のレビュアーが書かれているが、著者のスタンスは必ずしも“左翼的”でも何でもない。“普通の人が普通に働いて、普通に暮らすことができる、普通の国家のあり方”を問うスタンスであって、著者は何ら恥じることはない。寧ろ恥じ入るべきは著者や金子勝氏の提言や警告を左翼的と罵倒し、鼻先で嗤い、自らもこうした現在の状況を作り出すことに無意識の中にも加担してしまった人達であり、そうした人達は自らの言葉を持っているとは言い難い。
バブルに踊り“浮かれ狸”を演じていた20年前に上梓されたものとはいえ、今の日本の姿を見通していた著者の慧眼には、唯々頷くしかないことが空しい。
バブル期の本と言うことを差し引いて読むべき
★★★★☆
バブルに浮かれる日本人を警告するための本と言えばいいだろうか。
戦後日本を引っ張ってきたの効率優先のシステムが、世界でも指折りの豊かな国となったバブル期に歪みが生じていることを指摘している。
要するに著者は、物質的豊かさが先進国と呼ばれる水準に達するまでは、経済的に豊かになることが人々の”豊かさ”とつながっていたのだが、いったん世界最高水準の経済レベルまでのし上がってしまうと、もはや経済的観点だけからは豊かさを語ることは出来ないのだと言っている。
人間性と経済的効率は別物なのに、日本人は教育と企業システムによって経済的効率を人間性に当てはめてしまったために、人々は心が貧しいのであるらしい。
ここらへんの切り口は非常に面白いと思う。
ちなみに著者は、経済の発展について反対意見は言ってないし、物質的な幸福さは豊かさとは無縁とも言っていない。
例えば、住宅政策が整っている西ドイツや北欧の人々は簡単に言えば精神的に豊さを享受できる一方で、日本の住宅事情の悪さは人間性を貧しくすると言っているのだ。
言い換えれば、住宅という物質的豊かさは精神的な豊かさにつながるとしているのである。
また、経済優先の政策で政府の財政状況が圧迫するよりも(財政出動で国債発行しまくるよりも)、今で言うセーフティネットや教育に金をかけた方が国民は貧しい思いをしなくて良いと言っている。
国家の財政状況なんかは話題にしていない。
他にも、国民の格差を無くすことが”豊かさ”につながるとも言っているが、決して経済的豊かさが悪だとは書いていない。
おそらく、この本は一部の人が親の敵のように毛嫌いする”サヨク的(リベラル)”な考えで書かれているので、論説が気にくわなかったのだと思われる。
だから、右翼左翼の区別が好きな人や、リベラルと呼ばれる考えが大嫌いな人、著者が1920年代生まれでバブルに書かれた本であることを頭に入れられない人(話が古いことを分からない人)は読まない方がよろしい。
魔女狩りよろしく、読了後は火にかけたくなるはずだ。
8/31にて、読書感想文最終対抗手段
★★★★★
この本は夏休みの8/31にて、全く手をつけていない読書感想文を1時間程度で終わらすことができます。本を指定されていないときは、この本を選びましょう。
まず、本の中身は1行も読まないで構いません。
原稿用紙には、あなたが思う「豊かさとは何か」を書いてください。それで、読書感想文としてはかなり形にはなると思います。
なお、この通りにして、先生から怒られたり、低い評価を受けても私は責任とりません。
夏休みはやりたいことを思いきりやればいいのです。と、私は思います。私の場合は中途半端に勉強を頑張り、社会人になってから、全然使い道が無かったという……。
もし、子供ができたら、勉強やれ、とか一言も言わないと思います。多分、友達ともっと遊べと言うと思います。