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やがて中国の崩壊がはじまる

価格: ¥1,785
カテゴリ: 単行本
ブランド: 草思社
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   1978年から90年代半ばにかけて、中国の経済は世界で最も著しく成長を遂げた。その勢いはアジアを圧するような様相を呈しており、近い将来には世界を圧するのではないかと思われる。しかし、理論よりも事実に目を向け、華々しい数字の陰に潜む状況を考察したゴードン・チャンは、中国を「潜在的な能力が発揮できない」研究例と呼び、「表面下に隠れた部分に目を凝らせば、弱い中国が見える。長年、衰退の道をたどり、崩壊の一歩手前でさえある。衰弱の兆しはいたるところに散見される」と、述べる。

   常に長い歴史を考慮に入れる国家ゆえ、時間は急速に流れていく。チャンは、中国が重大な財政危機に陥る前に経済を立て直す時間は5年あると考える。そして、そのタイムラインに間に合うかどうかを深刻に懸念している。

   チャンの解説によれば、中国は改革に失敗しながらも、進歩という幻想を抱き続けているという。実際には、起業家志望者や海外投資家に機会を与えるどころか、さまざまな問題を作り出している。それは改革がスピードの面からも、包括的な面からも十分ではないからであり、中国は近代化の恩恵に浴することも、世界標準の技術に追いつくこともできずにいる。国有企業をなくすことに政府が積極的ではないため、世界貿易機構に加入するにあたって競争力がないばかりでなく、国有企業に融資を余儀なくされている銀行までもが、国有企業と共に衰運をたどっているのである。大量失業、共産党内部の腐敗、憤慨している無数の農民、一般的な指導力の欠如などの問題が、なおいっそう国の安定を脅かしている。共産党は「抑圧する方法は知っているが、統率する力はもはやない」。チャンはさらに、共産党が力を維持しているのは、力ずくで人々を服従させているからだと主張する。大衆の支持は、経済が急下落するとともに低下する。同時に、ギャンブルやドラッグや売春といった社会悪が重大な問題となってくる。

   本書は、共産主義と資本主義のはざまで行き詰まった「中国は漂っている。嫌々ながら、必要に迫られて急進し、引き戻せなくなっている」と説く。この大国がついには崩壊するまでに、何が起こるかは定かでない。