ザ・ピーカン・トゥリー
価格: ¥2,548
1999年発表の『ソング・リヴス・オン』でレイラ・ハサウェイのヴォーカルをフィーチャーして話題になったジョー・サンプル。それに続く本作では、元シャラマーのハワード・ヒューイットと注目の若手女性歌手、リズ・ライトの歌を各2曲にフィーチャーしている点がなんといっても話題だ。この2人を起用したのは、ゴスペルを歌える歌手が欲しかったからだという。といっても、これはゴスペル・アルバムというわけではなく、いつもながらの耳に優しいフュージョン。ゴスペルはその隠し味として使われているわけだ。
それにしても、いいメロディを書ける人は強い。ジョー・サンプルはその典型で、抜群のメロディ・センスと清々しいタッチのアコースティック・ピアノの絶妙なブレンドは、まさに老舗の味といった感じで、思わずニンマリとしてしまう。アルバム・タイトルは故郷テキサスの州木の名前。そのことからもわかるように、自身の生まれ育ったルーツを多分に意識した作品だ。(市川正二)