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植物と人間 生物社会のバランス (NHKブックス)

価格: ¥13,157
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: NHK出版
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実践に移行する前の宮脇の過激さ。 ★★★★☆
木を植える、という最近の著者の直接的な自然保護活動は、当然に強い説得力も広い支持も行動力も持つが、成人してない子供がプロ野球の選手を将来の夢にするように、誰にも通用する分かりやすさがある分、書斎にこもってウンウン唸ってるひねた人間たちを表に出すいい意味での暗さ、人間精神の構想力の胡散臭さが希薄になってしまっていて、やや残念ではある。最近の著書の、国語の教科書のテキストになってもおかしくない、実体験と時間の熟成、ドイツ語著作に親しんだ人間特有の、実体的な詩的語感を伴った美しい文章にも文句はないが、宮脇の青春ののめり込みと思想的な試行錯誤をいきいきと保存してる、始めのころの著作のマグマのような沸騰する生々しさが好きだ。イオンに担がれる宮脇はスマートだが、ノストラダムスの五島勉やら、地獄に落ちるとのたまう有名占い師、開き直った大平光代のようなぎこちなさに満ち満ちた宮脇は、路上でいきなり暴れ出す派遣社員に通じる原初の輝きを隠している。中心的主題は、紛れもなく『植物と人間』、自然とは何か、人間の生活に緑は本当に必要なのか?というラジカルな問題意識だが、植物群落、生物集団、文明社会の最高の発展相と破滅、集団の遷移以上にラジカルな回答を、初期宮脇も最近の宮脇も見いだし得なかった、とはいえる。現在では、個体の植物は、人間の精神の象徴(眠りの中、活動的でない状態)や鏡(時間性や環界との関係性)でありうるし、人間身体のイメージ的研究の入り口(太陽光存在、栄養摂取、重力と身体的構造)などの内面的な高度な意義付けを隠している、とまではいえると思う。硬質で繊細な著者の思考、行間の背後の世界認識が、現在の私たちにとっても新たなソフィア探求の出発点になりうることを示したかった。
人間は35年もの間いったい何をしてきたのだろう ★★★★★
初版が1970年のこの本。35年経った今年2005年に、この本は第66版を迎えたそうです。著者は横浜国立大学名誉教授の宮脇昭先生。既にここ数年で関連の本を読み、感銘を受けてはいましたが、35年も前から既に「自然と人間のかかわり」について、徹底して同じ考えを持ち続けておられることに、ただひたすら驚きと敬意を感じてしまいました。
35年前に発売されたこの本の中では、人間がエゴを追求していくことで、自然環境が破壊され、人間社会に悪影響が確実に及ぼされていくことが、既に警告されています。そして、人間と植物のあるべき関係が具体的事例とともに説明されています。「地球温暖化」という言葉はまだ出てきていない時代です。まだ、誰も、そんな環境問題の存在には気にも止めず、次から次へと開発を進めていた時代です。ここ10年の間で環境問題は多くの国民の関心を持つようになってきましたが、順調に解決方向に進んでいるとはなかなか言えなそうです。
35年前、1人の研究者が発信したメッセージは、少しずつですが、徐々に多くの人に伝わり続けているようにも感じます。もっと多くの人がこのメッセージを通じて、何かに気がついてくれるといいなと思います。文系人間の私には、専門用語は難解ですが、それでも最後まで読み終えたときに学んだものは多かったです。少しずつでも、じっくり読み進めて頂きたい一冊です。