肉眼で見たときよりも写真から鮮烈な印象を得た
★★★★☆
一昔以上前に新薬師寺でこの肉眼で十二神将を見たはずなのに、この本の写真を見て鮮烈なインパクトを感じた。生半可な見方しかできていなかったのだ。口を引き締め悪魔をにらみつける、あるいは最大限に目を見開き、魂魄の怒声を吐く、神将のすさまじさから薬師を守護せんとする気魄が伝わる。西村公朝さんの文から、なぜ神将の頭上に十二支がないのかがよくわかった。西川杏太郎さんの文から最古の十二神将の制作過程を興味深く学べた。写真家の小川光三さんの文から、新薬師寺のロケーションの持つ重要な意味を教えられた。中田聖観住職の文から「新」とはあたらしいという意味ではなく、あらたかな薬師寺という意味であることを知り、認識を新たにした。東大寺の十二神将との図像対比もできておもしろい。