晋作始動
★★★★★
動きの少なかった1巻に比べると、長い、また様々な旅と経験の末に、ようやく晋作が「自分自身」を掴み始めて、いよいよ晋作始動!といった感じです。奔放不羈な「晋作らしさ」に骨が徹り、磨きがかかります。自分探しの過程は、若いときに読むと特に共感できていいかもしれません。
しかし私個人の名シーンは、刑死した松陰の遺体を小塚ッ原で桂小五郎ら門弟が引き取り、埋葬するシーンと、その小塚ッ原から世田谷の土地に、晋作が松陰の遺骨を移すシーンです。移骨のやり方がまた晋作らしいのですが、それよりも世田谷に移す前、松陰の眠る塚に向かって晋作が「先生、もうちょっとの辛抱じゃ。すぐに移してやるからのう」と語りかける場面は本当に胸が熱くなります。師が逝いた後までも・・何という美しい絆でしょうか。人間は、他人同士であっても心と心を、これほどまでに強固に、まさに血よりも濃く、美しく結び合わせることもできる存在なのだということに、感動せずにはいられません。
師が受けた刑死の不名誉への悔しさ、師の正義を藩に、日本に断固認めさせるという晋作の一念と行動。あの暴れ馬で癇の強い晋作が、松陰に捧げる敬意と愛情のなんと深いこと!
松陰の至誠がよき弟子を育み、その弟子たちが大国難にあった日本を支える人材となり、日本が最後まで独立を守り通したことを考えると、我々は松陰に大きな大きな恩を受けているということになります。
いつか、必ず山口に挨拶に行きます(笑)!!
ともあれ、時代も晋作も大きく動く第2巻、お楽しみください!