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物語になるために存在したかのような究極の集団
★★★★★
小説、ドラマ、漫画とあらゆるジャンルで登場する新撰組ですが、やはりNo1は司馬さんのこの作品だと思います。
司馬さんというのはつくづく行間を読ませるのがうまい作家だと思います。文章それ自体は淡々としているのですが、
行間のリズムが読者の想像力を刺激して、読者の中で物語が自然と大きく深く新鮮になっていく。そしてこの「司馬効果」とも
呼べる作用は歴史小説というジャンルでこそ最も発揮されるのだと思います。
激動の時代、短い人生、鉄の法度、戦闘集団、立身出世、時代への抵抗、そして悲劇的結末。
シェークスピアやワーグナーでも惹かれそうな劇的要素のフルコースを実際の人生で貫いた新撰組。この物語になるために存在したかのような
究極の集団を、司馬さんの透徹した歴史観と司馬効果で凝縮させたこの作品に対して、読まない理由を見つけることは私には
できそうもありません。
なにが幸福なのか
★★★★★
かつて手塚治虫は「ガラスの脳」という漫画の中で、5日間しか起きていることのできない少女の姿を描き、巻末に
泥のようによごれたこの世で 六十年を苦しむよりは 由美(少女の名前)の五日間の人生は 幸福だったかもしれないのだ
と記している。これは、人の人生において重要なのは、その長さではなく密度なのだと主張している。
それを実際に考え体現した男こそ土方歳三である。
土方歳三が生きた時代は、現代のような受動的な時代ではなく、
誰もが日本の未来を本気で案じ自分たちで行動して日本を変えていこうとした、そんな時代だった。
本作で取り上げられているのは、そんな幕末の動乱の時代を自らの意思を貫き続けた男の物語である。
「男の人生というものは、美しさを作るためのものだ、自分の。そう信じている。」
と沖田総司に向かって言う土方歳三の言葉は特に印象に残った。
自らの考える美しさが節義を守ることであった土方歳三は、その意思を貫徹し函館に散る。
土方歳三の他にも、近藤勇や沖田総司など魅力的な登場人物が多数登場する。
ほんの150年前に生きていた日本人たちの姿は、
現代の悶々とした社会の中でただなんとなく生きている私たちに対して強力なメッセージを示してくれる。
後半こそが京都、甲府、流山、函館等の見せ場
★★★★☆
上巻は、多摩や江戸での生活を中心になっていたが、後半は十分に新撰組のドラマが始まっている。冷やかすような沖田の言動にはなぜか土方も少し腹だたせながらも答える。近藤さんの馬鹿正直なところを変な社会正義感、使命感を土方は馬鹿にする。自分の分が何なのか、そして函館にたどりつき、そこでも男気を発揮する。土方の冷徹さは好きではないし、真似できないが、こうゆう人だったのだろうと考える。妙に感情じみたところがないながらも、ちらっと見せる弱さをたまに織り込み、物語の幅を広げていた。
読み返したくなる作品
★★★★★
この小説の土方さんのブレない生き方が格好いい。そして、俳句が趣味で、しかも下手というか、単純な作品だったり、意外に文字が女っぽかったりと人間として可愛げがあるなあと。
司馬遼太郎さんの作品は読みやすくて面白いです。
男の典型
★★★★★
男の典型を一つずつ丁寧に描いていきたい、著者の言葉通り良い男が出てきます。
「男の一生というものは美しさを作るためのものだ、自分の。そう信じている」
「おとことは、どうする、という以外に試案はないぞ」
「もって生まれた自分の性分で、精一杯生きるより、人間、仕方がないのではないでしょうか」
歳三も沖田も近藤も男の典型として描かれています。
この本を読めば良い漢と出会えます。