吟味された編集
★★★★★
クリシュナムルティの本は数多く出されていて、どの本を読もうと同じなのではないか、それならどれを読んだらよいのだろうか、と思う人が多いのではないだろうか。それでは、幾多の訳本の中でこの本を読む価値は何処にあるのか。ひとつは、編者のマリー・ルティエンス女史が実際にクリシュナムルティと長年にわたり関わりを持ち続け、後にクリシュナムルティの伝記を著した人であり、その編集により特に読む価値のあるものを選んだというところ。二つめは、内容の大部分が、英国クリシュナムルティ財団の会報のかたちで発行されたものである、というところであろうと思う。会報というのは、いわばクリシュナムルティをすでに学んでいる人に多く読まれるものであり、この本は、そういう意味合いから、今までに幾冊かクリシュナムルティの本を読んだ方に、特に勧められると思う。もちろん、内容が吟味されたものであるだけに、初めてクリシュナムルティの本に接する方が読んでも差し支えない。