ミアシャイマーは、政治学の中で現実主義学派の出身である。彼は、自身の考え方を「攻撃的現実主義」と呼び、他国の善意に過大な信頼を抱くことに対して繰り返し警鐘を鳴らしている。「国際政治は常に残酷で危険なものだというのが、悲しいながら現実である」と彼は書いている。
本書の大半は、過去2世紀間の外交と軍事の歴史が、彼の考え方を裏打ちしていることを示そうとしたものだ。終わりの方で、彼は現在の問題に彼の理論をあてはめようと試みている。「私は、現在のヨーロッパ、北東アジアの力の構造は2020年までもたないと信じている」。ミアシャイマーはとくにアメリカの対中政策に批判的だ。中国を豊かで民主的な国にしようとする試みは、より強力な競争相手を作り出すだけだと考える。極端な意見ではあるものの、実に巧みに論じられているので、そのまま無視することは難しい。(John Miller, Amazon.com)