ネオリアリズムをよりよく知りたいならば
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これはミクロ経済学を専攻していたWaltzが、そのアナロジーを用いて国際政治学における戦争の原因を分析したものである。元来、国際政治学においては、政治的リーダーの個人的要因や国内的要因に戦争の原因が求められてきた。しかし、Waltzはこれらの視点に国際的要因を加えることで、国際政治学をシステム的に分析しようとしたのである。後の国際政治学における大偉業であるTheory of International Politicsにつながる著作ではあるが、TIPのように国際システム的要因にのみ重点を置いていないのが特徴である。だが、この国際政治学における革新的な研究が、後のネオリアリズム構築という大偉業につながるのであるから、かなり重要な文献であることに変わりはない。国際政治学の基本理解にも役立つので、様々な意味で重要性を含む文献である。