14歳のトリクシー・ストーンは生まれて初めて恋をしていた。トリクシーは父親ダニエルの人生を照らす光でもある――オールAの優等生、高校でも人気者の美人の新入生、いつでも父親をヒーローだと思っている女の子。ところが、トリクシーの世界はたった一度の暴力で逆さまに引っくり返ってしまう。家族――そして自分自身――について信じていたあらゆることが突然、嘘に見えはじめる。かつてトリクシーを幸せでいっぱいにしたボーイフレンドが、彼女の子ども時代を永遠に終わらせてしまったのだろうか？　そのとおり、とトリクシーは言う。そしてそれゆえにダニエルは――見た目は穏やかな漫画家だが、だれも知らない激動の過去を家族にさえ隠しているダニエルは、娘を守るために、危険を冒して地獄へとおもむくことになる。

ジョディ・ピコーの『The Tenth Circle』は、これまでになく迫力のある年代記だ。途切れることのない親子の絆を描き出し、一生のうちに自分自身を変えることができるのか――はたまた過ちは永遠についてまわるものなのかを問いかけている。