筆者は、東南アジアの研究を徹底的に現地を歩いて周り研究したフィールドワークの第一人者のような人らしい。
そんな中で、海に住む人々に注目してナマコの研究をしたり、という斬新な切り口を見せてきた。
いろいろな人々と交流しながら積み上げてきた遺稿集としてのこの本は、岩波新書とは思えないほどに熱意に満ちていて、
それでいて不思議に論理を踏んでいる。俗っぽく言えば、アツい。しかも具体に溢れている。でも…ちゃんと論理を踏んでいる。
ちょっとなかなか触れられない不思議な文章。これを読むだけでも一読の価値はある。また、随所に彼との交流を綴った
寄稿がある。その中には、あの、タイ料理研究家戸田杏子の文章も入っていて、鶴見氏の温かい言葉が彼女を育てたという。
筆者の人と交わり、現地を調べつくし研究する姿勢は真摯に学ぶに値する。
人の一生はその人がどんな人と交流してきたかでうかがい知れると思う。彼は超一流のステキな人らしい。
他の新書ほど具体的に何かを知ることができる、というものじゃないけれど、筆者の人生っていいなぁー・・・と。
なんか、小説を読んだ後みたいな感覚。