ストーカー [DVD]
価格: ¥4,179
『ストーカー』は『タクシードライバー』より洗練されていると思われるが、戦りつ的という点でもまったくひけを取らない。マーティン・スコセッシ監督の名作と同様に、引き込まれるような性格描写は思いやりをもって細部に及んでいるため、不幸な主人公、サイ・パリッシュ(ロビン・ウィリアムズ)が次第に狂気じみていくにもかかわらず、観る人は思わず同情を覚えてしまう。サイはスーパーの写真カウンターでネガを1枚1枚丁寧に仕上げる熟練した店員であるが、顧客が持ち込む写真、特に裕福で一見幸せそうなニーナ(コニー・ニールセン)とウィル(ミシェル・ヴァルタン)のヨーキン家の写真によって、危険な妄想に駆り立てられていく。ヨーキン家のスナップ写真には、孤独で心に傷を負っているサイには望むべくもない幸せに満ちた生活が写し出されており、いつしか自分もその家族の一員になりたいという思いが深まっていく。やがて写真からウィルの不倫を知ったサイは怒り駆られ、豹変していくのである。ロビン・ウィリアムズの演技は、初期の作品で見られた自己陶酔的で大げさな感傷性から完璧に脱却し、マーク・ロマネクの監督・脚本により心理的インパクトが最大限に引き出された『ストーカー』を、傑作と呼ぶに相応しい作品に高めている。(Jeff Shannon, Amazon.com)