さて、訳者の堀越教授の文は―大抵そうなのですが―万人に向けるには配慮が足りずクセが強いですね。
訳注に関してもなんだかなあと言うようなものも多いです。
まあしかし無意味についているわけではありませんし正確は期されていると思います。
最後に細かい事になりますが、あいうえお順の形式なのだし、辞書などを閉じた時に腹にある見出しが欲しかったですね。
同類項などに飛ぶ時、ページも書いて無いし見出しもないので追う時少し面倒くさいかなと。
良い本なんですけどねー、という感じですねどうも。
・・・が、一つだけ致命的な欠点があります。
それは翻訳者です。
本来翻訳者が何をするべきか、それは様々な意見があるでしょうが、
この翻訳者は誰から見ても明らかに出過ぎたことをしています。
めくって見れば一目瞭然です。
「これは筆者の生半可な知識に基づく億説に過ぎない~」
「これは筆者の勘違いである~」
「イラストをご覧下さい。女史は間違えている~」
「筆者がこう言うのは理解できない~」
「私は~であると思う」
間違いを正すのはいいでしょう。が、少なくとも上の一文は明らかに余計です。
ここに挙げたものはほんの一部です。実際には1ページのあちらこちらでこの
ような文章が目に付きます。
筆者が仕上げた素晴らしい内容を、この翻訳者が全て台無しにしています。
純粋に「騎士道辞典」を求める人には、非常に癇に障る文章です。
これは新版ということですが、もしまた新しく出すとすれば、次回からは人格的
におおらかな、端的に言えば自分の知識をひけらかしたり、筆者やイラスト
レーターをこき下ろしたりしないような翻訳者を選ぶべきですね。