船宿に向う途中の小店で、るいが目に止めた犬張子。それには深い因縁があった。
玩具職人の文治郎が斬り殺され、続いて娘も惨殺された。事件の裏には、孫の徳太郎を巻き込んだ大店の跡目争いが隠れており…。犬張子に込められた文治郎の孫への情愛に、胸を打たれる表題作。
ほか、「独楽と羽子板」「柿の木の下」「鯉魚の仇討」など七篇を収載。
るいと東吾、同心の畝源三郎などが大活躍する人情捕物帳。