もしも君のお父さんが本好きで、本屋をやっていて、大事な書物を「ボクのかわいい本ちゃん」と呼んでかわいがるような人だったらどうする? たぶん本なんて嫌いになるだろう。エリック・サンボイジンとマーティン・マティアによる一風変ったとても面白い物語『The Ink Drinker』に登場する主人公の男の子ように。 ある夏休みのこと、少年が「いっそ万引きでも来れば気がまぎれるのに」と思いながら本屋の店番をしていると、青白い不気味な何者かが、本を飲んでいた。なんとストローで。少年のはっと息を飲む音を聞いたインク・ドリンカーは、あわてて外へ逃げて行った。被害に遭った本からは、1字か2字を残して文字がすっかり消えていた。少年が本物の探偵さながらに店を飛び出して男を追うと、たどり着いたのは墓地。そこには、インクつぼの形をした墓石があり、ペンの形をした棺に先ほどの男(魔物か?)がいびきをかいて寝ていた。
ブック・バンパイアのなぞが、良質の小説のように解けていくにつれて、一体この主人公の少年が起きているのか、夢を見ているのか、このインク・ドリンカーの魔力にかかってしまったのか、読者はいよいよわからなくなっていく。「第2段落の冒頭部分を吸い込んだところで、突然明かりがつくと、そこにはパパがいた。言葉を飲み込み損ねて、のどが詰まってしまった…」
読書のパワーを描いたこのエキセントリックな物語に、少年少女たちは夢中になるに違いない。さまざまな読者に、多くの驚きと喜びを与えてくれる本となるだろう。(Karin Snelson, Amazon.com)