ハメルとプラハラードは、従来のやり方に甘んじて向上を求めない経営者は自分の会社が衰退していくのを目にするはめになる、と警告している。例に挙げられているのが、70年代に起こったIBMとアップル社の戦い。メインフレーム・コンピュータのトップメーカーとして確固たる地位を築いていたIBMは、パーソナル・コンピュータの可能性を見過ごしてしまった。そのおかげで、扉はアップル社に開かれた。同社は、すべての男性、女性、子どもためのコンピュータという未来を描いていたのだ。
「最悪の場合、動きののろい者は一番よく知っている道をなぞる。一方挑戦者は、それがどこに通じることになろうと、一番可能性のある道を歩む」と著者は言う。ビジネスリーダーというのは、やれ予算削減だの効率化だのリエンジニアリングだのといった使い古された戦術に気を配る「メンテナンス技師」でいるだけではだめだと2人は説く。
本書は、決して素人評論家のために書かれたものではない。自分の会社をトップクラスに育てようと真剣に取り組んでいる経営者に向けた本なのだ。