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子どもたちは、いま

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 早川書房
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   家庭内暴力、性的虐待の被害者である6歳の少女を通じて、児童虐待の過酷な実態を捉えたノンフィクション『シーラという子』。その著者トリイ・ヘイデンが、1998年に来日した際に行われた5回の講演のうち、3回分の内容を収録したものが本書である。『「家族」はこわい』『アダルト・チルドレンと家族』などの著書を持つ精神科医、斎藤学との対談と、聴講者からの質疑応答も併録されており、当日の雰囲気がよりリアルに再現されている。

   まず序盤では、生物学を専攻していた彼女が、障害児教育にたずさわるようになった経緯や、最初の「しゃべらない子」との出会い、そして、自身が「望まれて生まれた子どもではなかった」ことなどが語られる。いずれのエピソードも、熱血教師としての彼女の原点を垣間見るようで興味深い。また、虐待を受けた子どもの心を癒すためのステップなど、教育現場での実体験に基づいたアドバイスは、いずれも説得力があるものばかりだ。

   さらに、いじめの問題を扱った第3部では、より実践的、具体的な提言となっていく。いじめの被害者と加害者に共通するのは、自己評価の低さであること、両者に対しての効果的な対処法、傍観者や教師には何ができるのか。綿密な調査をしたうえで講演に望んだというだけに、その内容は密度が濃く、学校関係者や親たちにとって、多くの示唆を含むものとなっている。また、「子どもを相手にするというプロセスを楽しむ」という信念に貫かれた彼女の著作への足がかりとしても、最適な1冊である。(中島正敏)