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映画365本 DVDで世界を読む (朝日新書)

価格: ¥840
カテゴリ: 新書
ブランド: 朝日新聞出版
Amazon.co.jpで確認
本としてのコンセプトは悪くない ★★★☆☆
評論家の宮崎哲也による映画評論集。本のコンセプトとしては悪くはない。
「はじめに」によると、彼の映画鑑賞に対するスタンスというのは「ためにな
る」ものかどうかだという。具体的には、その作品をとおして外国(おもにア
メリカ)の政治や文化、慣習が学べるかどうかだ。この点、劇中にイスが何
脚でてくるのか本当に数えさせられたという伝説の某東大某映画ゼミとまっ
たく思想を異にしているが、こんなものどっちが正しいかなんてない。それよ
か、ウダウダ思ったことを書き連ねるだけで何が言いたいかさっぱりわから
ん巷の評論より、予め書くことをキッパリ宣言してくれる本書の方がなんぼ
か良心的だ。

50作の映画が7つのカテゴリー別に分けられている。冒頭で予告した「た
めになる」というのは、各作品の論評ページにて、「蘊蓄力UPポイント」「教
養力UPポイント」という二つのパートにより具体化される。前者では文字通
り作品に関係するキャストやスタッフについての蘊蓄が語られ、後者にて作
品批評がなされている。

タイトルに365本とあるのに50本しか紹介してないという指摘があるが、これ
は本文中で紹介されるまた別の作品もいれての「365本」(本人曰わく本当
は400本以上らしい)なのだ。だから、いちおう「ウソ」ではない。詳しく紹介し
てないものの、この本によって400本以上の作品の関係性のネットワークが
築かれているとも、大げさには言えるわけだ。

ただ、正直この50本なら観ている人ならすべて観ているだろうし、観ていない
という人も、この中のいったいどれを観るべきなのか。それがいまいちわから
ない。作品評論は、言い方は悪いがどれも「当たり障りない」。どれも「平等に」
評価しているといった感じ。これまた指摘されていることだが、本書の元となっ
た連載は某超巨大全国チェーンレンタルビデオショップの某媒体でなされてい
たということで、「とりあえず全部観ようか」というスタンスの論評になってしまう
の、は無理ない。
言わばTSUTAYAの宣伝パンフレット ★★★☆☆
 帯に堂々と、「TSUTAYA Online 連載に加筆して書籍化」と明記してある。

 選ばれている映画も、TSUTAYA店頭で何本もレンタル中になるような人気作はあまりなく、ややマニアック、一部はB級か、ってなラインナップ。私が観たのはメインチョイス50作中『宇宙戦争』、『プライベート・ライアン』、『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』のなんと3本しかなかった!

 あ、そうか、TSUTAYAの店頭に眠っている隠れた名作DVDを紹介するのが、本旨なのだね。でもなあ、監督や脚本家や俳優の他の作品を紹介するより、当該作品自体の批評をもう少し宮崎哲弥独自の視点で述べて欲しかったな。データ的なことはネットで調べりゃすぐ分かるんだし。

 巻末の「特別編 オールタイムベスト50作品」ってのが、もっとも興味を惹かれたのだが、読んでみるとあれっと思うようなチョイスがある。『サブウェイ・パニック』は確かに名作だが、『ジャガーノート』ってそんなにイイか?んで『エクソシスト』はやっぱ、1やろ〜。2よりは3がマシだが、1の足下にも及ばないってのが、世評でしょう。

 ま、逆に言うと、こういう世評とかけ離れた特異な感想ってのが、本書の売りなのかも知れない。

 でも、テレビや雑誌での哲っちゃん程の含蓄のあるコメントはあまりなかった。
映画通を自認する人、インテリぶった人には向かない ★☆☆☆☆
他の方も言ってるように明らかに本数は365ではない。どう見ても50本である。なんと倍増し、いや7倍増し以上である。まぁ細かな所でちょびっと言及されてる映画も含めたりしてるのかもしれないが、やはりこれはちょっとあくどい。絶対あくどい。ヤバイ。それぞれの映画の評論は思ってた以上に短いため他作品に触れるといってもたかが知れている。

評論としての出来もさほどではない、というかイマイチだと思う。殆どの映画がまず調べれば誰でも分かるような粗筋や出演者、また時代背景の話でまず始められ、その次にもさして斬新とも思えない印象批評のようなものが続く。それもイマイチ無難すぎるというか、この著者ならもっと面白いことも言える気がするのだが思ってた以上に今回はつまらない普通のことしか言わないなぁと終始感じてしまった。

それぞれの評論には薀蓄力アップと教養力アップの項があるのだが、では粗筋だの出演者だの調べればすぐ分かる時代背景だの、有名すぎてわざわざ教えられるまでもない関連雑学だのは全て薀蓄に入っていて教養力アップの箇所は短いながら面白い事が書かれてるのかというとそれは大間違いだ。出演者や時代背景の話は薀蓄力に入っており、そして教養力の箇所には粗筋が長々と入る事しばしばなのである。そのくせそれぞれの作品の評論は長くても4頁に満たずとても短いわけだからあとはどういう事になるか想像に難くないはずである。作品によっては9割がネットなどで調べればすぐ分かるような粗筋や出演者などの基本情報で構成され残りの1割だけ、とってつけたようにその映画で扱われてる社会問題について「この映画からこの問題について学ぶ事が出来るだろう。」とかそんな一言で締められて終る。勿論こんな評論ばかりではないが(そうだと困る)そういうものもあって嘗めてるのかと思ってしまった。映画を沢山観ているというのは嘘ではないはずなのだから、こんな姑息な数合わせ、文字数稼ぎみたいな事をせず普通に厳選して上質な評論をしてくれればよかったのに内容から帯の宣伝文句から題名からあらゆる事がムカムカくる書籍である。

ちなみに著者は前書きでこれはシネフィル(映画通を自認してるような輩)のためのものではないと断言している。要するに私みたいな奴がこんな風に感じの悪い感想を持つのも著者の意図上仕方なかったという事である。なので別に映画なんてそこまで好きでもないし、まさか通だなんて事はないです、どうせ自分は俗物です、でもちょっとくらい常識的な教養はつけたいかなみたいな人にはお薦めできるのかもしれない。知的で思想的な評論は何も期待しない事である。
「ためになる」解説つきDVDガイド ★★★★☆
どう見ても365本でなく、50本である。この本は、50本の作品について、解説したものだ。帯に「宮崎さん、観すぎです!」と書かれているが、こういう掘り下げ方での400本なら大したことはない(実際に彼が観ている本数はかなり多いわけだし、映画が実態を正しく描写していると確信するためには気が遠くなるほどの勉強が必要ではある)。

さて、この本の本題は、映画を、社会について、特に異文化であるアメリカについて楽しみながら理解するための手段と捉えたうえでのガイドである。世界史等について、このような映画の見方をしたガイドはこれまでにもあったが、現代社会についてのものは珍しい。著者ならではの守備範囲の広さもあって、とても参考になる本である。また、全国チェーンのレンタルショップのサービスが基になっているので、アクセスがいいのも特徴。

ところで、書き出しからそうなのだが、なぜか映画通(シネフィルと言うらしく、著者はそう呼んでいる)を意識している。私の見方はそれとは違う、と言えばいいところをシネフィルの映画の見方にきちんと触れている。新書を読む層にとっては、どうでもいい話なのだが、薀蓄力UPの項にページを割いているように、著者が映画マニアであることを疑い得ない。だからこそ、差別化を図るために、わざわざコアなシネフィルの態度に触れる必要があったのだろう。あるいは、俺だってそういう見方もできる、という、シネフィルに対するエクスキューズか。

いずれにせよ、薀蓄力UPの項によって、本題への突っ込みが薄まってしまったことだけはたしかである。ここを削れば70本にするなり、1本1本についてより詳しく述べることができたはずであり、残念である。50本の作品についての、「ためになる解説」つきのガイドとしては十分楽しむことはできる。既に見たことのある作品について確認するだけでも「ため」になる。
アンチ・シネフィル・ガイド・ブック ★★★★★
本書はDVD、ブルーレイ・ディスクユーザー向けのガイドブックである。
アメリカの司法制度を理解する上で最も役立ったのは書籍以上にハリウッドの法廷映画であったという著者。本書の目的は「面白くてためになる映画を紹介する」と単純である。構成もシンプルで、各テーマごと、各作品ごとに「蘊蓄力UPポイント」と「教養力UPポイント」の2項目により解説される。「はじめに」にあるようにネタバレにのみ注意してささっと目を通してDVDを観るのがいいでしょう。
巻末にはおまけで哲っちゃんの「オールタイムベスト50」リストつきである。

うろ覚えだが、シネフィルというのは何かの本を読んだところ、「〜のために」という功利主義的考えの蔓延した俗世間を離れ、画面に映るものを凝視し、青空に翻る洗濯物の色の鮮やかさなどに心を奪われることらしい。
本書はひたすら「〜のために」映画を見るというアンチ・シネフィルの視点から書かれている。
昔キアロスタミが話題になった頃、イランじゃ誰も観てねーよ、というのを何かで読んだ記憶がある。日々の生活に追われる者にとって芸術は全く役に立たない。韓国人にとってのキム・ギドクや日本人にとっての『HANA-BI』より前の北野武などもそんな存在なのだろう(日本の場合はホリエモンがセカチューに涙するような社会なのでまた違うかもしれないが…)。

私も未見の作品は観たくて仕方がなくなった。もちろん本書は哲っちゃんの視点による映画の見方にすぎない。一観客としては評論家や有名人の真似をしてみても仕方がない。最終的には各作品ごとに自分の視点で映画を判断するのは言うまでもない。自分の見解が凡庸ではないという保証はどこにもないとしても…