知の虚人あるいは教養俗物
★☆☆☆☆
読書は贔屓目に見ても一種の「悪癖」であり、他人の考えという馬を頭の中で走らせるヤバイ行為なのに、それを臆面もなく赤の他人に、しかも数で誇るというのは、病的な倒錯であり痴愚の極みである。粗製濫造の朝日新書の一冊というのがまたイタイ。
多読多識が真の見識や教養に結びつかないことがむしろ多く、お気楽な「物知り」が蔑称であることさえ忘れられているこの末世では、宮崎だの内田だの松岡だの佐藤だの立花だのが「知の巨人」(恥ずかしいキャッチだね)としてもてはやされ、本人たちもその気になって本を出しまくるから、かくて本とも言えぬゴミが山をなすことになる。
こちらが本を選ぶのではなく、本のほうから否応なく迫られて苦痛のなかで向き合うというのが本来の読書ではないのか。苦行とならざるをえないから、できるだけ少数の本とじっくりつきあうのが身のため。……そういうことを逆説的に示すのがこの著者の本当の狙いだったとすれば救われるが、そんな智慧や含羞があればそもそもこんな本を書くはずもなく、結局この人も軽薄な「教養俗物」なのであった。合掌。
もう古いよ
★☆☆☆☆
某テレビ番組で禿げ頭の政治評論家を先生と卑屈に呼んでいる男が新書を
自分の主観に基づきランク付けした本。確かによく読んでいることは認め よう。ただし、性格的に問題があり、またその番組自体右翼御用達番組で
あるからして、宮崎の選ぶ新書のうちワーストとされているものでも、じ
つはベストかもしれないのだ。それに、出版されてから数年が経つ。大嫌 いな人物ではあるが、第2弾が求められる。この本が出版されてからも、
学研、ソフトバンクなどで新書が出されている。また、文春から立花隆と
佐藤優の似たような新書が出されたが、あちらの方がバランス、知識量の
豊富さという点では明らかに勝っている。推薦新書も書店ではすぐに買え るものは少なくなっており、今日的な新書ガイドとしては、お勧めできな
い。
当たり外れの大きい新書の世界のナビゲータ
★★★★★
評論・コメンテータが書く 新書365冊の評
まず、新書という比較的薄い本ではあるのですが、300冊を超える量を読んでいることに
対しすごいと思います。それだけで充分価値はあります。
構成は、法、教養など各分野別に新書の優劣を付けています。とても良い本は
2ページあまりをかけて説明し、もう一つの本は3〜4行ぐらいの短いコメントで
まとめてあります。
読み進めてゆくと、彼の明確なスタンス、評価の方法がわかりますので
自分が読みたい本をこの中から見つけることもできると思います。
巻末のWorstは私にとっては不要な情報ですが、どうしても「ハズレ」である
これらの本を書き留めておきたいと思っている著者の気持ちもわかるような気がします。
既に出版されてから数年経ち、中古本もお値段がこなれているこの本は
知らなかった本と出会える意味でも良い本でした。
人に「教わる」読書って・・・。
★☆☆☆☆
新書であれ、文庫であれ、読書には変わらない以上、自分の興味に沿って、選択し、内容を判断するのが本道であるのだが・・・。
テレビや雑誌などで有名な著者が新書の紹介をしている。ただし、注意すべきなのは、最終判断はあくまで自分自身で決定すべきということである。一定の参考にはなると思う。
左翼思想の最終形態であるポストモダンの系譜をひく著者や宮台真司などの30〜40代の論客たちは、どこか独特の腐敗臭を放っている。彼らの巧妙な保守偽装に注意しながらお読みいただくことを強くお勧めいたします。
宮崎哲弥の思想を知るのには良い本
★★★★☆
かつて雑誌『諸君!』に連載されていた頃、よくそこだけ立ち読みしていた宮崎哲弥の新書レビュー。「毎月出た新書を全巻読破」などと信じられないような事が書いてあった。この公言だけでもスゴイではないか。
その評価は、良い意味で彼の主観が強く出たもので、世評の高いものもバッサリWorst に評価している。
ただ、章立てがどうも独特な分類で、「歴史・文学・ことば」という非常に広いテーマがある一方、「社会・会社」と「若者・教育」、「犯罪と監視社会」が分けてある。それにWorst評価の新書を、分野わけせずに巻末に「問題な新書」としてまとめてあるのも、続けて読む側には辛いものがある。
いっそのこと、発表順(時系列)に並べた方が時代背景なども含め、理解しやすかったように思う。
あと宮崎哲弥は教養が有り過ぎるせいか、その文章に時々「菫狐に倣った」「疑氷がシコ(変換不能)る」「上木された」「益体もない」「シュユ(変換不能)にして」といった普通使われないような漢語表現が登場する。衒学趣味が疑われまいか?
とても状態も良く、迅速に対応して頂きま…
★★★★★
とても状態も良く、迅速に対応して頂きました。