ヴォーカルのダグラス・ロブは各トラックで危機的状況にある。たとえアクセントをつけようとも甲高い声でラップを刻もうとも、パンク調の「Pieces」で鳴らす緊急サイレンのようなギターと同じくらい歌詞が歯切れよく聞こえることは決してない。心地よいラヴソング「Let You Know」でさえ、「何もかもが/どいつもこいつもが/なぜだかおれを傷つけている気がするときには」というフレーズが繰り出されるかと思うと気が重くなる。
全12曲で月並みなリンプ・ビズキットのようなギター・リフが容赦なく続くが、唯一まったく別の気分にさせてくれるのが、奇妙な、デフトーンズを思い起こさせる「To Be with You」だ。残念なことに、歌詞は“受け入れてくれる”ように女の子を口説く傷つきやすい男の域を出ていない。甘いんだなあ。(Rickey Wright, Amazon.co.uk)