ニューヨークに潜入した国際テロリストを追うNY市警の面々の、息をもつかせぬ攻防を描いたブルース・マルムース監督の傑作犯罪アクション映画。女装も辞さない主演シルベスター・スタローンの実は隠れた代表作。まさに“陽の当たらない名画”とはこのことで、スタローン嫌いもこれを観れば一発でファンに寝返るほどの魅力が満載である。
   彼の別れた妻役にリンゼイ・ワグナー、彼の相棒にビリー・ディ・ウィリアムス、テロリスト側にルトガー・ハウアー、パンシス・カンバータなど、キャストは実に通好みでウットリしてしまう。特にルトガー・ハウアーは本作で注目され、世界的スターの道を歩むことになった。仕掛けの派手さではなく、あくまでもスリリングなドラマに裏付けされたアクションの数々にもめまいがしてしまう。キース・エマーソンのテンポ感みなぎる音楽もまた、彼の真骨頂ともいえる優れものであった。（的田也寸志）