「ぐりとぐら」シリーズでおなじみの「ぐり」と「ぐら」が、楽しいリズムで「あいうえお」を教えてくれる絵本。一辺が13センチ程度の小さなサイズ。
あさ
いもほり
うでまくり
えんやらやっと
おおきな おいも
あ行のページには、こう書いてある(本文は縦書き)。文頭の文字には色がついていて、そこだけ読めば「あいうえお」と読めるしかけ。こうして1ページにごとに、か行なら「かきくけこ」、さ行なら「さしすせそ」の文字を順番に使った短い文が書かれていく。「なんとまあ/にんじん/ぬいたら/ねっこのひげが/のびほうだい」など、耳で聞いただけでも状況が浮かぶ見事な言葉遊びがずらり。ときどきやや唐突な言葉の組み合わせのものもあるが、それがまた楽しい。となりに添えられたぐりとぐらや動物たち、四季の野菜や花々のイラストとあわせて見れば「なるほど」と笑いながらうなずいてしまう。
「ん?」と大きく書かれた最後のページまで、著者のアイディアに満ちている。(門倉紫麻)