『モモ』や『はてしない物語』で有名なエンデのデビュー作。前述の作品に比べるとスケールは小さいですが、その中にも個性的なキャラクターがたくさん登場しては、力を合わせることの大切さ、外見だけにとらわれて差別することの愚かしさ、勇気の素晴らしさなどが語られています。
しかし何よりものびのびと書かれた作風が、この『ジム・ボタン』の1番の魅力でしょう。『モモ』や『はてしない物語』でも有名なエンデの限りない想像力は、すでにこの頃から頭角を現していたんだな、と感心させられます。この作品がデビュー作にしてドイツ児童図書賞、国際アンデルセン賞を受賞したことも納得です。
挿絵もほのかなモノトーンで描かれていて、一層この作品を引き立てています。