前作『ヤァ!ブロード・ストリート』が、ビートルズ・ナンバーの再演を多く含む映画のサントラ盤だったので、オリジナルとしては『パイプス・オブ・ピース』(83年)以来、実に3年ぶりとなった86年作。プロデューサーは当時の売れっ子ヒュー・パジャム、半数以上の曲が10ccのエリック・スチュワートとの共作という新たなコラボレーションにより、現代風のサウンドに仕上がっている。
制作現場に新鮮な空気を送り込もうと試みたポールのトライは、正直言って少々からまわり気味ではあるけれど、新鮮かつ刺激的な手触りの中で時おり顔をのぞかせるポールらしい表情は相変わらずだ。(木村ユタカ)