友だち同士のキツネとオオカミ。「イタチがやきもちをやき、したうちをするくらい、なかよくあそんでいた」2匹なのに、近ごろのオオカミはキツネをさけているみたい。「ぼくのほかにも いいともだちができたの?」
オオカミの後をこっそりつけたキツネがみたのは、怪我をしたクマの看病をするオオカミの姿だった。
本当はとても優しいのに、「お、おれは、やさしいことをしないオオカミだぞ」という思い込みからキツネに内緒でクマの看病をするオオカミの姿がなんともいじらしい。そして、そんなオオカミの気持ちを分かってしまうキツネとの友情は本物だ。自らを「絵詞作家」と称する作者のユーモアに充ちた文章と、動物たちの生き生きとした表情が楽しい本書は、子どもだけでなく大人にも「こんな友だちがほしいな」と思わせる1冊である。(小山由絵)