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おかあさんの木 (ポプラポケット文庫 (032-1))

価格: ¥599
カテゴリ: 単行本
ブランド: ポプラ社
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戦争童話の傑作 ★★★★★
小学校五年生の時の国語の教科書で読みました。
今でもその教科書は大事にとってあります。時折読んではそのたびに涙します。

『七人の息子を持つ母親が、子供たちが兵隊にとられていくたび、裏の空き地に一本ずつ木を植えていきました。
それぞれに息子の名前「一郎」「二郎」・・・と名づけ、息子を世話するように毎日声をかけて世話をしていました。
やがて息子たちは全員兵隊に取られ、戦争が終わりましたが・・・』

実際読んでいただくのが一番だと思います。
戦時下での一般の人々にとって、戦争が何の得にもならない愚かしいものであると強烈に印象付けられますが、決して声高に反戦を訴えるわけではなく、淡々とした筆致によって、ただただ悲哀が胸を打ちます。

最近、戦争の記憶が社会の中で薄れてきているのか、戦争が遠すぎて逆に美化の対象になっているのかわかりませんが、硫黄島とか戦艦大和とか、兵士としての美学を貫いた散り様や、極限状況下での人間の絆とかを描く作品・映画が多いと感じますが、私個人としてはそういったものには全く共感できず、この本の「おかあさん」が生きた悲しい、そして惨めな人生にこそ、戦争がもつ真実があるんじゃないかなと思っています。

戦争を実際に経験していない世代だからこそ、安易な戦争の美化や、戦争の表舞台には決して現れない累積された無数の悲しみから目をそらすということは、決してしたくないと思うのです。

どうやらあまり有名な作品ではないようです。同世代でも国語で習ったという人にはほとんど出会ったことがありません。是非たくさんの人に読んで欲しい戦争童話の傑作のひとつだと思います。