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のっぽのサラ

価格: ¥1,365
カテゴリ: 単行本
ブランド: 徳間書店
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 「助け、求む」。パパの出した広告に、はるか遠い海辺の街からひとりの女性がやってきた。パパの新しい奥さんになるかもしれない人、わたしと弟のケイレブのお母さんになってくれるかもしれない人だ。海のおみやげを持って草原へ降り立った「のっぽでぶさいくなサラ」をわたしたちは、すぐに好きになった。でも、サラは海が恋しくてたまらない様子。サラはずっとうちにいてくれるのかしら。

   開拓時代の大草原を舞台に、姉娘アンナの視点で「家族になること」をやさしく丁寧に描いた1冊である。ストーリーはあくまでシンプルで短いものだ。しかし、描かれる子どもたちの気持ちや、人物、景色は鮮やかな映像として見えるように生き生きと描かれ、そこに読者は大きなドラマをみるだろう。

   1985年にアメリカで出版された本書は、アメリカのすぐれた児童文学に与えられる第66回ニューベリー賞、第3回スコット・オデール賞を受賞。続編として『草原のサラ』が出版され、テレビ映画化もされた作品である。日本では1度絶版になったものの再出版を求める声にこたえて、出版社を変えての刊行となったという。

   中村悦子が描く日本版の挿絵は繊細で優しく、本書の世界観を盛り上げるのに一役買っている。丁寧に子どもたちの気持ちを拾い上げ、読むものの気持ちをやさしく揺さぶる本書は、子どもたちだけのものにしておくにはもったいない。家族そろって、「家族とはなにか」ということを考えてみたくなる1冊である。(小山由絵)