ユートピア小説としてのロビンソン
★★★★☆
「漂流もの」の古典として名高い本書だが、反面、だれしも子供時代に出会う(あるいは読まされる)本の一冊として「子供向け」「くだらない冒険小説」といった不当なレッテルを貼られてしまっている。しかしロビンソンによって「開拓」される孤島は、当時の社会へのアンチテーゼとしてデフォーの描いた楽園であり、「ユートピア」「エレロホン」などと並ぶいわゆる「ユートピア小説」として上梓されたことは今では忘れ去られてしまっている。 子供向けの簡訳版しか読んだことのないあなたも、「ガリバー旅行記」を経て「1984」「ゴド待ち」などアンチ・ユートピア文学へと連なっていくユートピア小説の古典として再読してみては?