ヒューマニズムの起源
★★★★★
読み始めは少し退屈。訳の息遣いに慣れてくるとグぐっと引き込まれます。ゆっくりゆっくり時間をかけて読んでいくことが大切です。この著書の読み方というものがあるみたいです。
なぜなら、1860年代の文章です。また、ブルクハルトは神学に一度は心を寄せた人です。道徳、倫理といったことに読む上で考慮しておくとよいと思います。
さて、ブルクハルトは、戦前はブルックハルトと呼ばれていました。この名前を記憶している人もあろうかとも思います。イタリアの文芸復興の基礎は、ケンブリッジ ルネサンス哲学の基礎資料となっています。故シュミット教授の基礎の部分をなしています。
ルネサンスの事項を学習するときには是非読んでおくと「ルネサンス」とはどんなことかを教えてくれます。日本の「ルネサンス」研究の基本図書として参考図書となるでしょう。
人間の発見
★★★★☆
文化史の名著である。通読していなくても、何が書かれているか、他の書物を通じて知られているはずである。「芸術作品としての国家」「古代の復活」「世界と人間の発見」と一度はどこかで聞いたことのある目次がならんでいる。
文化史は純粋な歴史学と違って古くはならない。もちろん、古典となっている歴史もある。「歴史」や「戦史」「ガリア戦記」等などは古代の歴史として有名である。しかし、これらの歴史もなにほどかの文化史的要素をもっている。それらの歴史には事実だけでなく、観察眼が光っている。この観察眼がつよく要求されるのが文化史である。それだけに古典となった文化史はすくない。19世紀にどれほどの文化史があるだろうか。文化史がその市民権を獲得するのは、20世紀になってからであろうか。にもかかわらず、その数は少ない。
この本の翻訳はやさしいようにみえて、以外に難しいようである。日本語として、いかがかと思われる生硬な訳がいたるところに見られる。新訳が出たが改善されているだろうか。英訳を見るとすなおな訳になっているようだが、それでも不自然な訳がしばしば見られる。どうも原書の表現が生硬なのかもしれない。この障碍を乗り越えれば、ルネサンスのすごさと19世紀の明るさの二つによって、私たちに迫ってくる。