学生という視点で時代を振り返る好著
★★★★☆
この本にも出てくるが、現代の学生は、やりたいことがなくもないが、やりたくないことが先に来る。就職活動や学生活動でもそれはいえると思うのだが、そういった学生には、下手な就活本よりも、読む価値があるのではないかと思う。自己を相対化して、自己分析をするという意味で。
また、時代の雰囲気を、社会という抽象的なものとして捕らえる分析はよくあるが、学生という視点から系譜的に書いてあるのは、時代の理解の足しになる。
前半〜中盤部分は興味深い記述が多かったが・・・
★★★☆☆
前半部分の各年代ごとの大学生の姿について言及からの世代間の教育的営みの関連性(学歴社会、就職への影響、若者の消費文化、団塊世代からの移行など)の記述ついては体系的にまとまりがあり読みやすかった。私は単純に「昔の学生は今の学生と比べて学ぶ意欲に長けていた。だから大学全共闘などという形で自分の意志をアピールすることが出来た。」と考えていたが、「抵抗」という単語によってラベリングされた団塊世代の学生時代は、旧世代や戦前の価値観とは無関係である事を誇示する行動であるとする筆者の立場に新しい知見を得る思いであった。
共同性思考からの離脱、学生の怠惰な態度、将来の可能性の増大など戦後から現代に至るまでの学生の姿を、統計資料やアンケートの結果、エリクソンのアイデンティティー理論もまじえながら説得力のある論を展開していたように感じられる。
しかし筆者の現代学生を展望する「インサイドアウト、アウトサイドイン」という視点から出される、終章における結論にはやや疑問を感じた。
それは「学び方を学ぶ」といったような生涯学習論的な結論、大学と学生双方の改善が求められる、「インサイドアウト、アウトサイドイン」のどちらでも良い・・・といった結論と今までの論考との結びつきが感じられなかったからである。
現代学生にむかって「○○をしろ」という提言は可能性が多様化する現代においては難しいかもしれない。しかし上記のような結論では学生を表現する際にあまりにも抽象的すぎはしないだろうかと感じたのである。
ビジネス書としてお薦めかも・・・
★★★★★
私自身もまだ,現代の若者の部類だろが,現代の若者というものを客観的に見てみたいと思って手に取った一冊.
現代の若者を述べるには,それ以前の若者の心の推移をたどる必要があるということで,戦後世代から丁寧にそれぞれの時代の若者について述べている.日常生活で感じる世代間の感覚のギャップが生まれる理由がわかってきたような感覚を覚えた.いろんな意味で,学ばせてもらった一冊.