不思議と勉強が面白かった本
★★★★☆
短めの例文と簡潔な説明による短い課を何百と詰め込んである事務的な教科書で
学習者に興味を抱かせるための話題も特になく装丁も殺風景でしたが
そのわりには面白く学ぶことができました。
教科書がよかったのか、ラテン語の文法が自分の感覚に合っていたのか、
その次に学んだ、ラテン語よりはやさしいはずのロシア語は退屈で厄介でうんざりだったので
どうしてなのかいまだによく分からないのですが・・・。
それはともかくとして
この本を最後まで読み通すと
Requiem とか Stabat Mater なんかの歌詞も
自分で読んで意味を取ることができるようになります。
詳細かつ包括的
★★★★☆
詳細であるということは、初学者にとって長所でもあり短所でもあると思います。情報を選択できず、覚えることが負担だからです。講義で使うにしても、本文62課300ページ以上というのはちょっと多く、厳しい気がします。それでいて、この手の本のお約束で演習問題に解答が付されていないので、独習に向いているとも言えない。
しかし、日本語でこれだけ充実したラテン語教科書は他になく、一度は目を通しておきたい本でもあるのです。私はWheelock's Latinでラテン語初級を修めたのですが、これは、極端にいえば、簡単な変化表を覚えさせて後は実際の文章をガツガツ読ませる、といったような教育方針で、長文読解力は付くもののイディオムを中心とした文法知識が不足気味になってしまいます。当時色々教科書を渉猟してみたのですが、どれも一長一短で、少なくとも初学者のニーズを完全に満たすものは見付けられませんでした。
結局、講義で使われる教科書をメインに、副読にこの松平・国原を押さえておく、というのが一番いいように思いました。本書の演習問題は、よく作られているとは思いますが、短文中心で出典も示されていないものが殆どで暗唱にも適していないので、メインの教科書をきちっとやっておくという条件で、飛ばして構わないと思います。本文の精読だけでも確実に実力の底上げになります。
春休みの復習にもいいかも知れませんね。一度学んだ後なら情報の軽重も分かり、覚えるポイントがうまく絞れると思います。本文だけなら一日二課で一ヶ月読了というのは現実的な目標になりえます。もちろん、その後はひたすら興味のある原典を読みましょう。文法事項の確認にも本書はハンディで役に立つと思います(Wheelockは重すぎ。毎日持ち歩けません……)。
基本的な「ラテン語文法書」
★★★★☆
これからラテン語を学ぼうという人々にとって本書が「一番参考になる手引き書」として役に立つかと思います。 古代ローマ人の書いた文献を解読する上で必要な事柄は大略本書に総て記されていると言ってよいでしょう。学校の教材としても最適の本かと存じます。 ヨーロッパ系の諸言語を学ぼうとする場合、ラテン語の知識は不可欠のものなので、フランス語やイタリア語、スペイン語、英語などに関心のある方々は是非とも一度はラテン語文法を学んで御覧になることをオススメいたします。もちろん古代ギリシア語も同じ位重要な言語ではありますが。