注目すべきは、システムをわかりやすく解説するためにフローやチャートを多用した実用書に徹していること。そして、重要なポイントを、練習問題を使って、単に知識だけでなく技術を身につけるよう配慮されていること、この2つである。プレゼンテーションの準備からリハーサルに到るまで、アウトラインの組み立て方、テーマとメインポイントの絞り方、リーズニングの方法と、実際の話し方に関するトランジッション(つなぎの表現)、言葉の選択やアイコンタクトなどのランゲージとデリバリーについての詳細な指南もある。
たとえば、テーマの項では、テーマを絞り込むとき、日本語的な「~について話す」ではなく、英語的な「~を~することについて話す」と、名詞的ではなく動詞的に頭を切り換えること、とあるが、これなどプレゼンテーションの目的は、「伝え、説得すること」という本質を突いた、まさに目からウロコの実用論だ。
巻末には、プレゼンテーションサンプル集と、Useful Expressionsが、オープニングからクロージングまでのあいさつ、「提案、意見、同意、反対、論拠、説明、報告、結論、言い換え、追加」など、状況に即してまとめられている。現場で生かせる配慮に富んだ、英語プレゼンテーションの決定版と言えるだろう。(祐 静子)