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聯愁殺 (中公文庫)

価格: ¥540
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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多重解決ミステリ+α ★★★★★
OLの一礼比梢絵は、ある夜、自室に帰った
ところを見知らぬ男に襲われ、殺されかける。

それから四年。犯人はいまだ捕まっていない。

現場に残されていた手帳から、その男が連続殺人を計画・実行していたらしいことは
判明するのだが、犯行動機や被害者間の繋がりは、まったく浮かび上がってこない。

梢絵は、男が自分を襲った理由をはっきりさせるため、ミステリ関係者の集まり
である〈恋謎会〉の会合に参加し、メンバーに推理してもらうことにするのだが……。



ひとつの事件に対し、作中で複数の解決が提示される多重解決ミステリ……、
と見せかけて、巧緻な騙りの技巧を駆使し、結末で衝撃のサプライズを演出した
作品。


本作の大部分は、〈恋謎会〉による議論によって占められています。

そこで論じられる論点は、おもに三つ。犯人の動機(ホワイダニット)、
被害者間の隠れた繋がり(ミッシング・リンク)、そして梢絵を襲った
犯人の逃走方法(密室からの消失)です。

議論が進むにつれ、次々と新事実が追加されていき、その都度、仮説が
上書きされていくのですが、当然というべきか、そこでの最終的な結論が、
真相に到達することはありません。

知的スノッブ達によって繰り広げられる推理合戦自体が、
結末のサプライズのための「前座」に過ぎないのです。


作者は、フェアとアンフェアの境界線上にあるタイトロープを結末
まで見事渡り切り、着地を決めることに成功しているといえます。


ただ、計算し尽くされた精緻なプロットについては、まったく文句のつけようがない本作
なのですが、最終的に読者に突きつけられる陰惨で酷薄な真相が、かえってリアリティ
を殺ぎ、蛇足となっていると感じる向きもあるかもしれません。


これしかないが… ★★★☆☆
 見ず知らずの男に殺されそうになった女性が、謎好きの集まる会合・恋謎会の面々に、どうして自分が狙われたのか、推理してもらうというミステリ。
 無差別に見える連続殺人、犯人はどこに消えてしまったのかなど、不可解な謎の提示はうまい。推理合戦のなかで次々と新事実が発見され、仮説が塗り替えられていく過程も面白い。
 そして最後に、これしかないという結末が明らかになる。納得させられる。これまでのモヤモヤや矛盾、謎が一挙に明らかになる。カタルシスとしてはなかなかのもの。
 ただ、これはこれでガッカリという気もする。裏切りというか、フェアでないというか。
 途中の推理合戦がダラダラしすぎている点もマイナス。
推理合戦好きの方に ★★★☆☆
無差別連続殺人事件で殺されそうになったヒロインが、迷宮入りした犯人の素性や動機を追い求めて推理を依頼し、推理マニアメンバーの集まる会が催された。
この著者らしい推理ロジック合戦とも言える部分が作品の大半を占める。珍推理・迷推理続出する中で、段々と真相のベールが剥がされてゆき・・・
真相の裏の真実が明らかになった時、人間の業の深さというか、なんともやるせない無力感に襲われる。
賛否両論分かれる作品だろうが、緻密な組み立てと繰り返されるどんでん返しには素直に感嘆する。
こんなややこしく込み入った作品、書くの大変だろうなぁ・・・と。(ってそれがこの著者のウリなんだけどね)
エンドレス推理合戦 ★★★☆☆
いや凄いです。推理につぐ推理、まさに全編推理合戦ですね。
わずかな事実から、よくぞここまでロジックを展開できるものです。
こじつけの推理ももちろんありますが、ここまでやれば感心すると
いうか、あきれるというか、とにかく未体験のインパクトはあります。
ですが、逆に言えばそれだけかもしれません。ラストは心胆寒からし

めるものがあり、なかなか良かったのですが、推理しっ放しなだけに
物語の起伏に欠ける感は否めませんし、どの推理も常識の域を出てい
ない為、残念ながら全体としては平凡な印象でした。
それにしても、珍名奇名のオンパレードは何とかして欲しいですね。
ミステリー的に何らかの効果は与えているかもしれませんが、読み辛
いことこの上なしです。

チョコレートの後にお読み下さい ★★★★☆
まず、読み出してすぐ感じたのは、「これは『毒入りチョコレート事件』だな」ということです。
何しろ第2章、26ページから(本の最後まで)探偵作家や警察OBたち5人の会合「恋謎会(れんめいかい)」で事件の推理が始まるのです。その時に分かる『毒入りチョコレート事件』との違いは、依頼者が同席していることくらいでしょうか。

最初に気が付く違いはこれだけで、読んでいくと、この依頼者がウソをついていたり、隠している事実があったりするものだから、探偵たちが調べた新事実の他にもこれらが出てくるので、内容も構成も本家より劣っているのでは?と危惧してしまいました。

さらに読み進めると、一通り推理を出した後は、それぞれ思いついた人が推理を発言して行くので、一人ずつ推理と検証をしていく本家より読みづらい…。

最後まで読むと、ようやく作者の仕掛けが明らかになって、ここまで読んだ努力が報われる感じしましたが、特に『毒入りチョコレート事件』を読んだことがある人にとってはそこまで行くのが大変かもしれません。ネタバレするのでこれ以上書けないのが残念ですが。

どんでん返しそのものは充分に堪能できたものの、犯人の動機にはちょっと納得しかねるものがありました。

ちなみに、てっきり「恋」の旧字かと思っていたら、漢和辞典で調べたら「聯」は「連」の旧字でした。