ブルース・スプリングスティーンがアウトテイク、B面曲、レアトラックを集めた1998年のCD 4枚組セット『Tracks』を編集するために埋もれていた作品に光を当てたことは、「ボス」の長年のファンにとって大きなターニングポイントとなった。けれども『Tracks』では、「The Fever」（サウスサイド・ジョニー&アズベリー・ジュークスによるカヴァーで有名）と、ファンにはずっと人気があったがこれまで公式のアルバムにもシングルにも未収録だった「The Promise」の2曲が抜けているのが、ひときわ目を引いた。『Tracks』の収録曲を選りすぐったCD1枚の本作には、その2曲もついに収録され、レアトラック全曲は必要なく重要な曲にだけ金を出したいという一般的なファンも、その2曲を加えてコレクションを完成させたいと願う熱狂的なファンも満足させてくれる。ひとつ注意しておくと、「The Promise」は新録音のアコースティック・ヴァージョンであり、しばしば海賊盤として出回ったファン待望のテイクとは異なる。本作は『Tracks』から選曲したすばらしいセレクションではあるが、ボーナストラックとして『Human Touch』セッションで生まれたパンチの効いたアウトテイク「Trouble River」も収録している。（Daniel Durchholz, Amazon.co.uk）