「渾身のルポルタージュ」の言葉通りの渾身の書
★★★★★
吉田敏浩氏が一躍ノンフィクション界の表舞台に出た記念すべき本。
ノンフィクションのジャンルだが、内容は民俗、宗教、地理、政治に及ぶ幅広い内容で奥深い。吉田氏の人間を見る目は優しく、子供から老人まで、いろいろな人たちの、いろいろな表情の写真が数多くのっている。
ビルマの奥深い山中に営まれる人々の生活、またカチン独立軍の人たちの人間味が生き生きと描かれている。
筆者が重病になった頁では「なぜここまでやるのか?」とうめいてしまった。
4年に及ぶ従軍の記録だが、単に戦争報道の枠に留まらず、人間の生き方も考えさせる名作である。