若い力
★★★☆☆
1968年に山と渓谷社から出た単行本の文庫化。
1967年にマッターホルン北壁の冬季登攀に挑んだ記録。
『グランドジョラス北壁』、『ジャヌー北壁』と並ぶ、小西政継の「3大北壁記」の一冊。残念ながら、本書の完成度はいまいち。
マッターホルン北壁との戦いというよりは、挑戦に至るまでの軌跡を中心に描いている。みずからの登山への目覚め、基地となるツェルマットでの滞在、スイスの人々から軽視されたこと、帰還ルートの探索などなど。登攀行の真の困難は準備期間にあることが伝わってくる。北壁そのものはするっと終わってしまう。
登攀についても、文章についても、若いなと思わされる。