かつてふたりは、手を取りあって忌まわしきアチュアンの墓所から脱出した―― 孤独な若い巫女だった女と、偉大なる魔法使いだった男は。女は、普通の生活のなかにある単純な幸せをみずから選び、いまや農夫の未亡人となっていた。そして男は、選ばずして失われた力を嘆く、疲れ果てた老人となっていた。
はるか昔、闇と危険の時代に互いを助けあったふたり。そのふたりが再び力を合わせなければならない時が訪れた――心身ともに傷ついた少女を救うために。やがて、その少女の運命がしだいに明らかになっていく。
数百万部を売り上げたアーシュラ・K・ル=グウィンの『Earthsea Cycle』(邦題『ゲド戦記』)は、世界中のファンタジー愛好家の本棚で、宝物としての地位を獲得している。複雑で創造力に富み、奥深い倫理観を漂わせるこのシリーズは、J・R・R・トールキンやC・S・ルイスの作品にも匹敵する究極のファンタジーとして、ル=グウィンを史上もっとも名の知られたファンタジー/SF作家に押しあげた。ル=グウィンは現在、オレゴン州ポートランドに暮らしている。