オバマは、最善の意志を持った政治家でさえ鎮圧してしまう力――敗北への恐れ、永遠に続く資金集めの必要性、メディアの影響力――を探る。また、オバマは驚くほどの親密さと自虐的なユーモアで、上院議員としての生活に慣れていき、公務と家族との時間のふたつの要求のバランスをうまく取ろうとし、そしてより深く宗教に傾倒していく自分の姿を描いている。
本書の核心は、どうやって自分の領域の外へ出て、明確な問題に取り組んでいくか、というオバマ上院議員の考え方である。著者は、アメリカの家庭における経済への不安の増加、国内で発生する人種や宗教間の緊張関係、そして、テロや世界的流行病など、国境を越えて近づいてくる脅威について検討する。そして、民主主義における信念の役割――どこで必要となり、どこからは介入できないのか――という問題に取り組んでいる。著者の語る家族、友人、上院議員、そして大統領の話の根底にあるのは、つながりに対する強い探求心である。それが、本質的に前途有望な政治的コンセンサスの基礎になる。上院議員であり弁護士、教授であり父親、クリスチャンであり無神論者、そしてなによりも歴史と人間性を勉強する者として、オバマ上院議員は変形する権力についての1冊を書いた。憲法のもととなった根本的な思想に立ち返ることでのみ、アメリカ国民は壊れてしまった政治的成長を修復し、危険なことに多くの一般的アメリカ人の興味の対象からはずれてしまった、正常に機能する政府を復活させることはできない、と著者は語る。アメリカ国民は待っているのだ、とオバマは言う。「共和党と民主党が彼らに追いつくのを」