「オバマのアメリカ」に接する上で今も一読の価値ある書。そして、問答が巧い
★★★★☆
現役の政治家が本を著すとすれば当然、その内容のみならず出版自体にその政治家の戦略的意図が存在するはずであり、つまり、こちらはそこに書かれていることを素直に鵜呑みにするわけにはいかないというか、オバマ氏がとても正直に誠実に読者と向き合っている印象を与える本書もオバマ氏の何らかの戦略的意図 (なんだろう?たとえば自分を正直で誠実な政治家として印象づける、という意図?) のもとで世に出た本である、と考えてしかるべきだが、、、それを差し引いても(あるいはそれがあるからこそ?)本書は一読の価値ある書だと思う。
なんといっても良く書けているのだこれが、、、もちろん、編集者やらいろいろな人間の協力があってのことだろうが、
テレビやユーチューブの映像で目にしたオバマ氏のストーリーテラーの才に、活字で触れることが出来る。
原書『The Audacity of Hope』の出版が2006年。そしてこの日本版『合衆国再生』が出版されたのも、オバマ氏がまだ合衆国大統領に選ばれる以前の2007年暮れ。本書を手に取ったのは2008年に入ってから。当時のオバマ氏は大統領選の民主党候補の座をヒラリー・クリントン女史と争う一上院議員。ユーチューブの映像で彼のスピーチと聴衆の反応(熱狂)を観て「ひょっとするとこの人は・・・!」と思って読んでみた。特に興味深く読んだのは、第1章「二大政党制の弊害」や第2章「共存するための価値観」、第7章「人種間のカベ」、第8章「アメリカの対外政策」だった。当時幾つかの章はスキップしたが、オバマ氏の問答の巧さに関心し、アメリカがこの人物をどこまで辿り着かせるのか見てみたい、と思った。
そしてこの人物 〜「ミドルネームがフセインだなんて、有権者から票を投じてもらえるわけがない」と言われたバラク・オバマ氏 〜 がアメリカ合衆国第44代大統領に選ばれて一年が経った今現在も、あなたや俺がよほどのアメリカ通や専門家、エリートでないかぎり本書の価値は特別変わっていないように思う(≒値打ちは下がっていないと思う)。それは本書で展開されている議論が、その本質的な部分において、その後オバマ氏以外のアメリカの政治家やここ日本の政治家の名義で世に出た本(もちろん俺はそれらを全部を読んだわけではないが)と比べて特に、古いとも、劣っているとも思えないと感じるからだ。(感覚的に言えば本書からは今なお新鮮な匂いが発せられている、と言ってもいい)
本書では、アメリカと世界との問題や課題が挙げられ、それらに対する著者オバマ氏の議論や意見が比較的平易な言葉で語られている。そして、今読むとわかるのは、本書を著している2006年の時点で、オバマ氏がすでに自分の読者・オーディエンスをアメリカ国民に限定しておらず、諸外国の人々(特に、ヨーロッパやアフリカの人々か)をも自分の理解者や潜在的な味方にしていくための配慮をしながら議論を展開していることだ。世界中で起きている流血の惨事についても、血生臭さを抑えた語り口で自分の体験や考えを述べながら。
そんなわけでつまり本書は、「アメリカ人」とよばれる人々やアメリカ合衆国という国に対して関心を持っている人、疑問を持っている人、好感を持っている人、反感を持っている人、好感と反感が入り混じっている人、それらすべての人にとって手に取る価値のある一冊だと思う。
それにしても、この人は問答が巧い、
問答の巧くない人間が「問答無用!」と叫んでも聴衆や第三者から共感は得られないが、これくらい問答のできる人間であれば聴衆を得て味方にすることも出来、その聴衆同士も互いに問答を始めたくなるだろなあと思う。
(だからといってべつに「だから、これからは日本人も全員英語を特訓して、英語でオバマさんみたいにディベートできるようトレーニングしなくちゃ駄目だ」とも思わないけど。日本人は、やるとなったら「全員にやらせる」という発想が大好きだと思うが、人間というのはひとりひとり違うものだし、本人にとって楽しいこと、必要性があって熱狂できることでないかぎり、大人やエリートの側の危機感で無理矢理やれと言っても優れたプレーヤーが出てくるとは思えない。マネするよりは個性を伸ばしたほうが良い結果が出る気もする)
<翻訳については>
先日、オバマ氏が大統領に選ばれて一年経ったところで先日原書を部分的にでも読んでみようと思って『The Audacity of Hope』を読み始めたところ、たしかにこの『合衆国再生』には原書の内容(文章)をカットしている箇所が複数箇所あることがわかった。特定の(政治的な)意図で行われたカット(検閲的な)というよりはこの日本版を一定のページ数に収めるため、あるいは読者をくたびれさせないため(?)にカットしている感じだったが。
日本語で読めるのは「原書に忠実な翻訳書」でなくあくまで(いろいろな事情に基づいて世に出る)「日本版」と割り切ることもできなくはないが、たとえば文中で「ここから以下2段落カットしてます」というようなやり方で原書との(情報量の)違いを読者へ示す、なんてことは出来ないものだろうか?
オバマデセプション
★☆☆☆☆
http://www.youtube.com/watch?v=6bqH0J47lmY&feature=related
オバマデセプションを観てから、考え直してみて欲しい。
オバマさんのスマートさと同時にアメリカの良識が感じられました。
★★★★★
オバマ大統領が就任前に示した政治的な信条が実にわかりやすく書かれています。日本で総理を目指す人も本をお書きになりますが、この内容たるやかなり差があるのではないかと思いました。日本は、アメリカの事例から二大政党制を良しとしているように受け取れるのですが、オバマさんが、これを批判的にみていることに我が意を得たりです。政治的信条を始め、インターネット、社会保障、差別問題など国民が知りたいと思いそうな項目に答えを示しているのがとても素晴らしいと思います。これだけの内容を示してこそ、国民は大統領候補を知ることができるのでしょうね。アメリカ民主主義は揺るぎないと思います。
新大統領(前候補)は何を考え、何を行おうとしているのか
★★★★☆
第44代米国大統領に就任する氏によるアメリカの問題点と、それに対する
処方箋+自身が政治家になること(目指したこと)による家庭の問題を記した
一冊。
例えば・・・
・どんな理由で彼は政治家を志したのか?
・イリノイ州上院議員として、米国上院議員として何を成したのか?
・アメリカとっての問題とは何か?そしてそれを解決する為の手段は?
・・・といったことを率直に語っています。その中では己の欠点や失敗も
(それが全てか否かは別にして)きちんと記しています。
原著タイトル"The AUDACITY of HOPE(大いなる希望)"名の通り、確かに
アメリカには問題が山積。でも、それを打開する方法はあって、それを成せば
皆が希望を(特に低〜中所得層)抱ける国なのだ、と説いています。
そして、それを信じた人は彼に来年からの4年間を託しました。
海の向こうの「友人」としては、新大統領が何を考えているのか?という
ことを、率直に語っている本書を読んでおいて損は無いと考える次第です。
原著と比べた訳では無いですが、読みやすい翻訳(日本語として変な表現が
無い)、カタカナ言葉への注釈など、読者へのの配慮も好感が持てます。
附:個人的には78pの「共感することの利益」に特に感銘を覚えました。
(今のアメリカ政権中枢に一番不足している感覚だと思うのです)
良かったじ
★★★★★
いやあ〜、分厚い本だけどせ、しっかり読んだじ。黒い顔だけど、いいんね。
とにかく、アメリカの将軍にふさわしいずら。一番気に入ったのはせ、アメリカに、日本のラーメン屋を呼ぶことだったじ。みなの衆も、しっかり読みましょ。ためになるでせ。