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Dreams from My Father: A Story of Race and Inheritance

価格: ¥1,274
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Three Rivers Press
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叙情的でありながら、感情的ではない、感動的なこの回想録で、アフリカ系黒人の父と白人のアメリカ人を母にもつ著者は、黒人のアメリカ人としての人生に実行可能な意味を探す。ストーリーはニューヨークで始まる。父親――実在するというより伝説の男としてなじみのあった人物――が交通事故で亡くなってしまう。父親の急死が、感情的な長期放浪の旅のきっかけとなる。カンザス州の小さな町から始まり、母側の家族が移民してきた道をさかのぼってハワイへ、そこからケニヤに渡り、アフリカの親戚に会って父親の人生のつらい真実を学ぶ。そこでようやく、自分のなかの混ざりあった血を甘んじて受け入れることができる。
等身大のオバマ大統領が見えてくる ★★★★★
オバマ氏が一体どんな経緯で黒人初の大統領までたどりついたのだろう、と気になる方は多いはず。本書では、彼がハーバード・ロースクールを卒業した頃までしか書かれていませんが、今日の大統領のルーツ、本質を知るには十分な情報です。彼の無名時代に書かれているので、虚飾もなく、純粋な黒人青年の言葉が読者の心に響きます。

彼自身は中流家庭の出身ですが、すでに幼少期に、母親の再婚に伴い訪れたインドネシアでアジアの貧困をしっかり見ているし、コロンビア大学卒業後は、シカゴの黒人居住区で草の根のコミュニティ・ワーカーとして働きながら、米国の底辺で暮らす黒人の問題を目の当たりにします。そして、もちろん父親の国、ケニアではアフリカの問題を自分の身内の問題として捉えています。こういう「現実」を知る人がアメリカの大統領になったのは、本当に素晴らしいことだと思う。またこういう人を大統領にすることができたアメリカ市民も素晴らしい。
オバマ氏自身は白人と黒人のハーフとして、どちらの社会にも完全に属することのできない苦しみをずっと抱えてきた様子がよくわかります。しかし、100%白人だったら黒人の立場は理解できないし、100%黒人だったらアメリカ社会でここまで出世していくことは困難だったでしょう。ハーフ(ダブル)だったからこそ、多民族から構成されるアメリカ社会にふさわしい指導者になり得るのだと思う。本書に、「僕は黒人だから、空軍に入ってもパイロットにはなれない」と早くも人生を諦めてしまっている少年に「希望を持ち続ければ、絶対にその希望はかなう」とオバマ青年が答えるくだりがあるのですが、彼はまさに自分の言葉を自ら証明してみせたわけです。当時、オバマ青年の言葉を信じられなかったその少年も、今ならオバマ青年の言葉を信じるでしょう。

自分のルーツを確認するために、ほとんど会わないまま他界してしまった父親の生き様をたどることが本書を貫くテーマになっています。オバマ氏は、優秀だったけれど多くの女性と関係を持ち、母親の異なる子供たちを残し、その子供たちを幸福にしてあげられなかった父親、米国の学位を持ちながらもケニアでそれに見合う職につけず自堕落になっていく父親を知り愕然としますが、その一方で、困っている人を助けずにいられない父親、上司に媚を売るよりも自分の信念を曲げないことを選ぶ父親も見つけます。なおオバマ大統領のお父さんの名誉のために補足しておくと、ケニアでは一夫多妻制の伝統があったため、お父さんが多くの女性と関係を持ったことは必ずしも文明国(?)の基準から「モラルがない」と判定はできないです。それにしても、黒人男性であれだけ白人女性(大統領のお母さんも含む)を惹きつけたとは、きっと魅力的な方だったのでしょうね。
地球の中心に居る人 ★★★★★
あらゆる民族の悲喜こもごもを、半生を通して渡り歩き、見て来た人の率直な自伝です。
この人が、世界に影響力のある国の長になったことは、地球にとって幸いなことだったと思わされました。

補筆:ノーベル平和賞受賞、おめでとうございます。

この本を読みながら、いずれは受賞するだろうと考えていました。

受賞を受けての最初のスピーチも聞きました。

時期の早さには驚きましたが、当然のことと思います。

世界中が、あなたの呼びかけに応えなければいけませんね。
肌の色の暗いアメリカの人々に思いをはせる ★★★★★
これまで、映画や公民権運動を伝えるテレビ番組などでアメリカ黒人の事情を見聞きしたおりに、彼らの状況を想像していたつもりだった。この本を読んで、日本人には到底、想像も及ばないほど、アメリカの白人と黒人の確執というか、対立関係は深く、暗く、底知れないものだと知った。自分の肌の色を意識したことなど、私にはない。アメリカで、肌が暗い色で生まれたら、それこそ、一時もそれを意識せずにいられないときはないらしい。自らは白人に囲まれて育ったにもかかわらず、常に、黒人として扱われ、いやおうなしに、ふたつの社会の対立にはさまれて苦悩した、有能で多感な少年の揺れる心に胸が痛む。頭がよかったから、よけいに、凡人の何倍も大きな痛みを感じたに違いない。内容は鋭い洞察に富む。考えさせられることが多々ある。とくに、公民権運動で平等の権利を得ても、なお、人々の心のわだかまりや不信感が簡単に消し去れないで、おおきな亀裂が埋められずにあることなど、アメリカ社会の深い傷について、気づかされる。
英語は最初は、まあまあだが、シカゴあたりから、難しい。語彙も表現もかなり難しい。知り合いのアメリカ人によると(彼女も白人と黒人の混血で、この本に書いてあるとおりの苦労をしたらしい)、オバマ氏は作家を志したこともあるそうで、文章はレベルが高い。私には非常に難しく、途中から、日本語訳本の助けを借りた。一読の価値あり。
困難な時期に読むと勇気がわいてきます ★★★★★
バラク・オバマは、リンカーンやルーズベルト以来の「文章が上手い」大統領として作家たちの間でも高く評価されています。あの格調の高いスピーチの基となっているのが、彼の作家としての才能であることが、この本からよくわかります。
子供のころのインドネシアの町の風景、黒人市長や市政について黒人らが語り合うシカゴの床屋の風景、あるいは、ケニヤに姉を訪ねて行った際の、キッチンの窓から見える動物や鳥たちの風景−これらはまさに小説の感を帯びています。
オバマは父親をほとんど知りません。一緒に過ごしたのは、父親がハワイに訪ねてきたほんの数週間だけです。しかしその父親の不在こそが、今の彼を形作ったのだと彼は言います。
この本を読んでいるとこれほどの偉業を達成した人の裏に、私たち一人一人と共通した当たり前の悩み―自分のすべきことが見つからない苦悩、社会に溶け込むためのあらゆる内面的苦労―などが見えてきます。そして何より驚くべきことは、今の大統領の父親がケニヤで掃除夫をしていたという事実です。
この本を読むと困難や不遇は、地道な努力と、本当に大切な原点に常に立ち戻ることで乗り越えられるのだという勇気がわいてきます。
文章は極めてオーソドックスですし、語彙自体も中学英語があればところどころ辞書を引くだけで読み切れると思います。

以下は彼の作家としての才能を表す、私が一番好きなケニヤのシーンです。

I dropped onto the cot she’d prepared and fell asleep to the buzz of insects outside the window. When I awoke it was dusk and Auma was still gone. From the kitchen, I noticed a troop of black-faced monkeys gathered beneath a banyan tree. The older ones sat warily at the tree’s base watching with knotted brows as pups scampered about through the long winding roots. Rinsing my face in the sink, I put water on for tea, then opened the door that led into the yard. The monkeys all froze in their tracks; their eyes turned toward me in unison. I few feet away, the air filled with the beat of huge green wings, and I watched the dreamy ascent of long-necked bird as it sent out a series of deep-throated cries and drifted toward distant canopies. (308-309, Kenya, Chapter 15)
大変に優れた資質の人ではあるが、大統領になるべき人なのだろうか ★★★★★
 この本はオバマ氏の自伝である。しかし、他の著者にありがちなまるで自己宣伝のための自伝、というような内容ではなく、生い立ちを通して自分の考えを述べるという、極めて意思的な著作となっている。この本を通して、著者は、多民族国家アメリカにおける人々の共生とまとまりの大切さを、自分の活動してきた「Organizer」の仕事を通じて、また、父親の出生地であるケニヤを訪れた時の体験を通して、訴えているのだと思った。その意味では、巧まずして後の著書である「合衆国再生」の序をなしているものではないだろうか。
 この本を書いた頃は自分が民主党の大統領候補者に選ばれるとは思わなかっただろうが、そうでなくてもこれほど赤裸々に自分の家族、特にケニヤの家族のことが書かれていることに驚いた。頭はよかったかもしれないが野放図な生き方をした父親、その女性関係には驚くばかりである。一方で、オバマ氏の母も、インドネシアに夫がいながらオバマ氏の父親がハワイに来た時にわざわざインドネシアから来て同衾したようにほのめかし、節操がないと思われることまで、著者は率直に事実を述べている。 
 更に、著者が独身時代にケニヤに赴いて、父親の系列の家族達と会い、そこで聞いた父親や祖父の生い立ちや生き様を書き述べている部分は、圧巻とも言えるものである。
 自分の全てをさらけ出したともいえる著者の正直さには、人間的な好意を抱くとともに、政治家としての資質をも感じるのではあるが、一方で、こういう父親を持ち、アメリカとの歴史的かかわりの浅い二世であり、その反面で特定の国、ケニヤ、とのかかわりの強い人を、アメリカの特に保守的な人々は、自国の大統領として選ぶだろうか、という疑問を私は抱いてしまう。こういう人は象徴とも言える大統領になるのではなく、野にいて政権を見守り、時に行き過ぎを批判し、或いは政策を擁護するような、そういう場所にいるべきなのではないか、と思った。