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鳥玄坊 時間の裏側 (講談社文庫)

価格: ¥821
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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小ネタが少し増えた程度 ★★★☆☆
決定稿とのことだが
蜃気楼とかの小ネタが少し追加された程度
明石散人はホントにネタ切れなのか?
もう新作は読めないのか?
心配になってしまう。
作者に翻弄されるがままの伝奇的遊戯の書 ★★★☆☆
3部作の2作目ですが、謎の存在“鳥玄坊”の正体を探り、最後にはそれと対峙するところで終わるので、本書だけで充分完結しているように感じました。

『アカシック ファイル』に出てきたような衒学や根源力の蘊蓄が散りばめられているので、切り張りかと思いきや、最後にはそれらの要素がまとまって終幕へと到ります。ただ、結果的に全てが伏線のように見えるだけで、これらは“世界観”と言ってしまっていいでしょう。そもそも本作はミステリではなく、広義のミステリーか、SF、和風に言うなら伝記小説。現代をベースにした『妖星伝』と言ったほうが分かりやすいかもしれません。

たぶん作者は小説が巧くないのだと思います。本作の主人公である鈴木にしても、『アカシック ファイル』の明石先生と語り口が同じですし、構成にしても冒頭に到るまでの情景をもう少し書いておかないと、ラストの真相が明かされたときの驚きが活きてこないと思います。いくら博覧強記の才人といっても神ではないのだから、少しくらい欠点があってもいいことですし、小説が巧くないからといって著者自身や他の著作の内容まで否定する気はありませんが。

『アカシック ファイル』と共通する、裏側の事情も色々出て来ますが、ラストでサスペンスでもミステリーでもポリティカル・フィクションでもないことが分かるので、それらの事実(たぶん)らしきことまで懐疑心が芽生えてくるのが欠点といえるかもしれません。読者の知識と根源力にゆだねられる部分が格段に大きくなっているので、ホントとウソの取捨選択が難しくなっているのです。まあこれは殆どのフィクションに共通する事ではあるのですが、本作で扱っているテーマは結構日常生活においても重要なものなので、はっきり峻別しておいてほしい気はしました。