不正確なところも
★★★★☆
『日本の人種差別はひどいもので、たとえば日本に来て三代にもなる韓国人でさえ、日本の市民権をもらえない。日本で生まれても日本人の血が流れていなければ父母や祖父母が日本で生まれていようが関係なく、参政権はない。』
というところは明らかに間違いですね。
在日特権で手厚く保護されていますし、帰化をすれば日本人と全く同じ権利を持つことが出来ます。
男の浪漫一杯の一冊
★★★★★
オリジナルは2003年リリース。邦訳は2003年11月12日リリース。『Adventure Capitalist』ジム・ロジャーズの二度目の世界旅行の記録である。1998年末アイスランドからスタートし、2001年末にアメリカの自宅に戻るまで116カ国を改造メルセデスで15万2,000マイルを踏破。途中で結婚までミレニアムにしていて、ギネスブックに載った世界記録である。ぼくは沢木耕太郎の『深夜特急』を読破したあとに読んだので、2つの旅の差に愕然とする経験までした。
アイスランドからスタートしたと思ったら、一挙にトルコに話が飛んでビックリした。国によって色々書きたい国とまったく書きたくない国があるようだ。つまり根本に『この国に投資したいかしたくないか』で書いているのだ。 すごい旅行である。投資すべきかを身をもって体験して決める。これがジム・ロジャーズの凄いところで、その上に政治・民族性・インフラといった要素も的確に分析する。確かにこれでは投資で負けないのも頷ける。
最も印象に残ったのは最後にアメリカに帰ってきて、世界中を旅する間にアメリカを外から見たことについて述べている部分だ。実に適切な分析だった。今、アメリカは鬼のようにドルを刷り続けている。世界最大の債務国がこの危機を乗り越えるためにドルを多大に刷る。これはかつての基軸通貨たりえたスペインそしてイギリスがやって来たことと同じではないのか、と考える。つまり、ドルは既に基軸通貨としての適格性を失ないつつあるとジムは言いたいのだろう。そして今はアメリカを離れ、シンガポールに居を移している。
旅行の全容は彼のサイトで見ることが出来る。男の浪漫一杯の一冊だ。
世界一周ベンツ編
★★★★★
前回はバイクで2年、今回はベンツで3年かけての世界一周。オフィシャルウエブサイトでリアルタイム更新しつつの長旅。たくさんの写真のほか、ジムの生声も聞けるし、パートナーのページが書いたフットノートも読める。ジムのファンなら楽しめることうけあい。
同行するパートナーが交代しているのはご愛敬。今回の旅の途中で彼女と結婚してた。戦争地帯を護送部隊と一緒に駆け抜けたり、車を運ぶためにはしけをチャーターして何日もかけてペルシャ湾を横切ったり、外国人が車で通ったことのないインドとミャンマーの国境を越えたりと、前回にも増して破天荒な旅。
行く先々でいろんな人と出会い、たくさんの発見をし、いくつかのヒントを投資に結びつける。こんな地に足のついた旅だから、そこから得られる物も数多い。
一言でいって
「うらやましい」
こんな風に「人生=旅」という過ごし方をしてみたい。
世界旅行の代用書
★★★★★
報道番組を事実のように観るのは愚かだ。
それは悲劇のほんの一場面を切り取っているに過ぎない。
ジム・ロジャーズのように世界中を旅して
自分の目で物事を見てみないことには本当のことはわからない。
とはいえ実際に世界各地を旅する資金も自由もない私に、
この本は世界の国々の一端を興味深いものとして伝えてくれた。
ヴィク・ニーダーホッファの反面教師。いや、その逆か。
★★★★☆
ニーダホッファの今回の「大損」について
既に、知っている人は知っているだろうが、
NewYorker誌の10月15日の記事にも
出ていた。ネット版でも確認出来る。
まだ、削除されていなければだが。
さて、ジム・ロジャーズとの絡みで言うのならば、
ニーダホッファの「前回の大損」の話である。
アジア通貨危機、正確にはタイ・バーツ危機での
「大損」を遣らかした訳である。ヴィクは。
問題はだねえ、ヴィクは、タイ・バーツ買い捲っていた時に
タイには行ったことも無かったし、どんな国で
どんな歴史や文化の国なのかも知らなかったし、
調べようともし無かったと言う事。
興味関心すら無かったんだって。
純粋に、ファンダメンタルとテクニカルの「数字」だけで
トレーディングを実行していた訳である。
しかし、ニーダホッファは、純然たる意味での
「メカニカル・システム・トレーダー」とも
言えない。先程、「知り合い」の「知り合い」である
カーティス・フェイスの本のレヴューを書いて送ったが、
カーティスやPMKと比べて見ると、違いが
良く判ると思う。因みに「今回の大損」では
DRバートンが、VANのメルマガの「ネタ」に
してた位だから、初心者でシステムの道を目指す者に
とっては、ヴィクは、良い「反面教師」だ。
「今回の失敗」では。
では、「前回の失敗」から学ぶべき「教訓」は
中国株でもヴェトナム株でもインド株でも、
「現地へ行って見て来い」と言う前に、
少なくとも、その国の歴史・文化は勉強しておく事
と言う事に為るだろう。その「切っ掛け作り」に
為るのが、ジム・ロジャーズの『冒険投資家』
シリーズなのである。