世界の人々を魅了した、ノルウェー発の不思議な哲学ファンタジーである。「一番やさしい哲学の本」として記録的なロングセラー小説となり、映画化もされた。主人公はごく普通の14歳の少女ソフィー。「あなたはだれ?」とたった1行だけ書かれた差出人不明の手紙を受け取った日から、彼女の周囲ではミステリアスな出来事が起こっていく。「世界はどこから来た?」「私は一体何者?」これまで当たり前と思っていたことが、次々と問いとして突きつけられる。そしてソフィーはこれらの謎と懸命に向き合っていくのだ。
著者のゴルデルは1952年生まれ。ノルウェーのベルゲンという美しい港町の高校で11年間哲学の教師をした後、首都オスロで作家生活に入り、『鏡の中、神秘の国へ』『カエルの城』など、児童・青少年向けの作品を発表し続けている。また翻訳は気鋭のドイツ文学者の池田香代子が担当、哲学者の須田朗が監修するという本格的なつくりも、本書が好評を博した1つの理由であろう。
本書のもう1つの特色は、「哲学史の宝石箱」であること。ソクラテスやアリストテレス、デカルトやカント、ヘーゲルなど、古代ギリシャから近代哲学にいたる西洋の主要な哲学者の大半が登場する。読者をファンタジックな世界へ誘いながら、ソフィーと一緒に彼らの概念をやさしく生き生きと読み解いていく手法は秀逸である。哲学というこの世界じゅうの物事の根源、存在の意味の解明をおもしろく描き、おとぎ話と融合させた作者の功績はとてつもなく大きい。(田島 薫)
みなさんの評価をみてビックリした
★★★☆☆
情報量に優れているという意味において、希少な一冊ではあることは確かだが
こういった趣旨の本で肝心なのは作者の先入観や思惑めいた要素が反映されないこと 客観性を保つことで
なぜならそれをやると、読む人にむしろ悪影響を及ぼすから。思想を説明するのに思想が絡めば、情報そのものに狂いが生ずる。
これを完璧にやると小説ではなくなるのだが、
この本の場合、作者の論でなく、他者の論を作者が介する形になっている(広く浅いので厳密性より抽出すべき要点、つまり解釈そのものの客観性が求められる)もので、
一層慎重にことに及ばねばならないことは同じ。
その点の配慮が全くないわけでないが 例えば如実なのは女性観についてで、
この点に際し、女性の立場を少しでも迫害しようものなら、頭からnoを突き付ける傾向がある。他にも複数の点で自己完結をやっている。
これでは洗脳だ。
終盤の展開にも雑見がみえかくれし いわゆる夢落ちに近い展開を見せる。このところが哲学的思考に基づいているのだという説明も成されていない。
作者の表現を借りれば、我々はウサギの毛根に付着するノミに等しく、毛の先をはいあがった景色、より広い世界を知らないし、何より知ろうとしないことが問題なのだと言うのだが
今もって誰も分かりえない問題を、(そもそもあるかないか分からない問題を)
作者の妄想(憶測でなく妄想)で補充をし、こういうこともありえるのかもなぁ〜とかいう。
これまで散々説明してきた、どこまでも直向きで誠実に、真実を追い求めてきた哲学者達の立場は、どうなるんだと。そんなんアリかと。
小説としての評価も決して高くはないはず。
時代はこうだった
★★★☆☆
前世紀が終わる5年ほど前、
世界中に自分探しをはやらせてしまった本だ。
また、この「あなたってだれ」に対して「だれだっていいんだよ」
と力強くいうう哲学者がひとりもいないものだから、
21世紀になって10年たった今も中田英寿さんにとっても、
自分探しがブームなのである。
不幸なことである。
12歳のとき衝撃を受けた一冊
★★★★★
12歳のときに読みました。
といっても半分くらいまでしか読んでいませんが、
子ども心に衝撃を受けた一冊です。
いままで当たり前だと思っていたことが、「なんで?」「どうして?」「ほんとにそうなの?」と考えると、実は「だれかから聞いた」程度の不確かなことだったということに気付かされた…そんな本です。
当時小学生でしたが、「そんなこといままで考えたこともなかった!」とおおはしゃぎで、まさにソフィ状態でした…(笑)
ストーリーも引き込まれますね。
子どもの頃に読んでおいてよかったと思っています。
ただ、途中から物語がなかなか進まず読みすすめるのがつらくなります。スラスラ読めるのは前半まででした…。
14歳の中学生に読ませるには高度すぎる本.
★★★★★
主人公のソフィーは14歳という設定ですが,
この本は14歳の日本の中学生が読める本ではありません.
親戚の中学生に読ませてみれば分かります,彼は間違いなく途中で挫折するでしょう.
というのは,この本を読み進めるには背景知識として,
「世界史」,「地理」,「倫理」の結構な量の知識が必要だからです.
その知識は日本の中学校の教科書の範囲を超えています.
(きみが欧米の「世界史」や「倫理」の教科書で勉強したのなら,
あるいは読みこなせるかもしれませんが)
理想的な読者像は,
旧帝大志望の高校生や国立大の1年生です.
そのくらいの教養があれば,スラスラと引っかからずに700P読みきる事ができるはずです.
内容は価値あるものです,私は丁度5回読みました.
哲学科の1年の教科書に、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語で読むとよいかも。
★★★★★
小説なのだが、哲学の題材がたくさんでてくる。
そのため、日本語で読むだけでなく、
大学の哲学科の1年の人は、哲学科の1年の教科書として、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語で読むとよいかもしれない。
話の筋に飽きない範囲で、山のように哲学の講義がはいるかんじ。