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世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す

価格: ¥1
カテゴリ: 単行本
ブランド: 徳間書店
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久しぶりに感動しました。 ★★★★★
簡単に言えば、現在のグローバリズムは、適正ではないというメッセージ。世界
の金融のシステムについて書かれた本を読むのは初めてで、非常に参考になりま
した。グローバリズムという方向性は正しいが、地域性にも配慮する必要がある。現在のグローバリズムは、地域性を無視し、先進国だけが得になるような
条件をくっつけていて、正しいグローバリズムではない。

エコロジーのあり方についても記載されていて、目がさめる思いです。全体に
筋が通っていて、非常に説得力があります。

こんなにアメリカ批判していて、身辺は大丈夫なのかと心配したくなりますが。

グローバリズムと格差拡大問題は、国際レベルだけの話ではなく、国内でも
会社内でも存在しうる問題だと思います。

少なくとも、経済、金融、エコロジーについて何か話をしたいのであれば、
是非とも読んでおく必要があると思います。たとえ、素人談義でも、です。
なお、この本は、2006年に書かれていますが、金融恐慌の2009年に読んでも
全く価値が変わりません。名著は時代を超えますね。



アメリカと IMF による「グローバリズム」のおしつけを批判 ★★★☆☆
著者は 2002 年以来,「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」,「人間が幸福になる経済とは何か」そしてこの本という,一連のグローバリズム批判の本を書いている.これらはそのときどきのできごとをとりあげつつ,一貫してアメリカと IMF による「グローバリズム」のおしつけを批判している.

この本のなかでは,アルゼンチンが IMF の要求をはねのけて独自の経済再建を成功させた例がとりあげられている.それに対して IMF にしたがった国々は経済の低迷になやまされてきたという.

アメリカは浪費し赤字をたれながすことで世界経済の弱体化をふせぎ,「世界に奉仕」してきた.しかし,アメリカはいつまでもそれをつづけられない (実際,サブプライム問題をきっかけにくずれた).著者はそれにかわる体制を示唆している.
日本版タイトルがコテコテのグローバリズムそのものなのですが ★★★★☆
読んでみるとなかなか硬派で公正なグローバリズム論が述べられていると思います。 筆者の主張の長所・短所はほかのレビュアーの方々が述べられている通りなのですが、特に、いわゆるグローバリズムを浸透させたいのなら、全世界が納得できるような商法、経済法を統括、監視するシステムや組織を作るべきだ、という案にはなるほど、と思わされました。

ただこの本、経済や国際政治の門外漢である私のような読者には読み通すのがかなり難しい一冊でした。  勿論経済学者として自分が関わってきた貴重な経験の数々が詳細に記されているのは素晴らしいのですが、ちょっとくどすぎる気もしました。  出来れば同じ内容で、短縮・廉価版にして出してもらえたらもっと多くの人にアピール出来ると思います。そのことを危惧したせいかどうか、日本語版のタイトルがやたらエグイものになっているのには苦笑させられます。 私もこの過激なタイトルに惹かれて購入したわけですから文句は言えないのですが、この様に何がなんでもモノを売ろう、売って儲けたモン勝ちという態度は、正しいグローバリズムを提唱する筆者の意に反するものではないでしょうか?
世界経済の問題点を凝縮 ★★★★★
 ノーベル経済学賞に輝きながら、単なる学者にとどまらず、クリントン政権や世界銀行にも関わって世界の現状と向かい合った“実践的”経済学者による、現在の世界経済の最大の問題を凝縮して描いた好著です。
 国際経済学の入門書では「自由貿易を通じ、関係する国の財の生産は増加する」といったノー天気な説明が多い中で、サミュエルソンらの指摘している「グローバリズムは非熟練労働者の賃金を引き下げる」といった、すでに理論的に定式化されている学問的成果を突き抜け、今のグローバリズムがいかに先進富裕国が貧しい国々を踏み台にして豊かさを保っているかを詳細かつ本質的にに述べています。
 特に「経済学の大きな課題の一つは、市場の失敗例とその対策を明らかにすることだ」という指摘は、非常に印象に残りました。経済学を志すものにとって常に肝に銘じておくべき言葉だと思います。
自由経済万能主義を否定する反主流派の理想論 ★★★★☆
 私は原書で読んだので翻訳の良し悪しは言えない。ただ和訳書の表題には驚いた。原題はMaking Globalization Workである。
 Clinton政権と世界銀行で主要幹部を務めNobel経済学賞を受賞した筆者は、米国の主流派が信奉する自由市場経済は民主主義と情報公開の下ではよいが、それらが不充分な発展途上国では機能し難いと反対する反主流派だ。自由市場経済を発展途上国に要求したIMFの失敗例を列挙し、管理市場経済の中国とインドの発展を対照させている。しかも経済の国際化が先進国と特定業界の利益に叶う一方で、発展途上国と貧しい国民が搾取されているとする。
 筆者はロンマンチストだ。貧困国と貧者の味方の立場で、貿易、知的財産権、資源産出国保護、環境、多国籍大企業の専横防止、無理な借款防止などの各局面で施策を提案する。ただ提案施策の多くはロマンチック過ぎ、一方的な貧者優遇の立場のため現実には反発が強く無理と思われる。だから華麗な経歴にあっても提案があまり取り上げられなかったのだろう。しかし第9章の新規世界基金の提案は傾聴に値する。まとめの第10章と共に必読であり、読み飛ばすと損をする。
 経済国際化の問題点を豊富な具体例で理解し、改善の可能性がどの辺にあるかを考えさせられる本だ。