組織には継続的改善とは別に、リストラやM&A、ダウンサイジング、企業文化変革といった手法を用いた大規模な飛躍と変革が必要な場合があるが、そのリーダーシップのあり方を論じたのが本書である。この場合、リーダーシップはマネジメントの対比概念として位置づけられている。
マネジメントとは、組織内のプロセスを計画し調整し統合することである。継続的改善に必要なのはマネジメントであるが、飛躍と変革に必要なのはマネジメントではなくリーダーシップである、と著者は言う。リーダーシップとは、組織を誕生させ、あるいは激しく変化している環境に組織を適応させる役割である。成功を収める変革は、70から90%はリーダーシップによってもたらされ、残りの10から30%がマネジメントによってもたらされる、と著者は主張している。
管理者としての成功への道も今後は変わる。大組織の中でマネジメントを学びつつ昇進をはかってきたこれまでのキャリアパスは、十分なリーダーシップ能力の獲得という点では不十分だ。21世紀において成功を収めるキャリアはもっとダイナミックなものになるはずだ、と著者は主張している。会社で働いている人たちへの示唆を含む議論である。
著者のジョン・コッターはハーバード・ビジネススクールの組織行動論担当教授である。ティーチングとコンサルティングの豊富な経験に基づく記述は、饒舌な語りを聞くようで読みやすい。多くの企業に入り込み、さまざまな場面に遭遇した著者の経験が生かされている。記述の全体に健全な精神が横溢し、割り切りの良い議論が展開されるので、読んでいて元気が出てくる本である。
強力なリーダーが必要だ、という意見が今の日本には多い。では強力なリーダーとは具体的にどういう役割を果たす人間をいうのか。その点を、本書は豊富なビジネス事例に触れながら明らかにしている。(榊原清則)
リーダーシップ論
★★★★☆
企業変革に関する8つのプロセスが簡潔かつ明確に書かれている。深くつっこんだ具体例等はないが構成が分かりやすいので内容も頭にすっと入ってくる。全体を通してリーダーシップとマネジメントの違いを示し、企業変革においてのリーダーシップの重要性を主張。リーダーシップ論の名著のひとつ。
企業改革にはビジョンの共通理解が必要
★★★★★
組織全体でビジョンを共有することができ、その実現に向けて全員が頑張ろうと感じたならば、そのビジョンは達成に向けて大きな一歩を踏み出すことができたと言えるでしょう。
情熱を引き出して積極的に取り組んでもらうのと、業務命令だからと有無を言わさずやらせるのとは違いますね。人の心に響かないビジョンは、絵に描いた餅になってしまいます。
企業変革は8つものステップを看破してこそ達成されるということを構造的に解明した珠玉の書
★★★★★
企業が変革するということは、個人にとどまらす多くの人が、時には数百、数千、数万という単位で行動様式を、その基となる考え方を変えて、継続的な良い成長サイクルを導き出すという現代における経営学やマネジメントの難易度の粋を集約したような活動である。
時にこのような難事業はジャックウェルチジャック・ウェルチ わが経営(上) (日経ビジネス人文庫)&ジャック・ウェルチ わが経営(下) (日経ビジネス人文庫)やボシディ経営は「実行」―明日から結果を出す鉄則のようなカリスマ経営者によって成し遂げられる。彼らは経験と才覚でもって企業の変革を実現する。しかし一般の人々もそれがどのようなメカニズム・構造に基づくものなのかを本書によって追体験することは可能である。そこから、実現へはまた大きなギャップがあるだろうが、企業変革の構造を認識できているということは、エベレスト登山に完璧な指南役を得てトレーニングの過程に入ろうとしているのと同義であり、大いに知的興奮に満ちた冒険であると言える。
参考になった箇所は以下の通り、
→1990年代の後半からアメリカで、組織変革の分野で、ナンバー・ワンのベストセラーを続けている
→誰でも優れた変革リーダーになり得るが、強い意思とスキルが要求される。
→地球規模の競争に勝利するためには、継続的改善に加えて、大規模な飛躍と変革が必要
→企業変革する際の最大の過ちは、仲間である管理者、従業員の間に改革に対する十分な危機感を盛り上げないうちに変革に突入してしまうことだ。
有意義なビジョンの存在
→ビジョンは、多数の人材の間に必要な行動の方向を示し、人材を整列させ、人材を鼓舞することによって、意義のある変革を進める際に大きな力を発揮する。
→変革を推進するビジョンを五分以内で説明しきれない場合、あるいは従業員がそれを理解し咀嚼する際に混乱を示した場合は、問題は必ずそこにある
社会人たる者繰り返し読むべし
★★★★★
企業を具体的に変革してゆくプロセスが具体的且つ丁寧に書かれている。
世には様々な経営書が溢れ、そこで述べる変革を「実現できれば」自分の会社の業績改善に役立つものがある。しかし、経営の現場においては「実現する」ことが最も困難なのだ。
変革には努力を伴い、既得権益を手放さなければならない者も出てくる。それゆえ、必ず変革に対する強大な抵抗勢力が出てくるものだ。
本著では怠惰な抵抗勢力を懐柔して行く具体的な策が満載だ。是非とも一度ならず、繰り返し読んで変革を実践してゆきたい。
テキストとして十分すぎるほど重宝しました
★★★★★
あるビジネス・スクールでの組織論・リーダーシップ論の副教材に、コッター教授の数ページからなる論文が添付されていました。
その教材は時間の関係から、各自が読むことということで、講師からは特段何もコメントが無かったのですが、講義終了後に読んでみると内容の論理性・説得力にビックリ。
コッター教授の名前など、それまで全然知らなかったのですが、慌てて書店に行き、この「Leading Chenge」を購入し、短期間に貪るように読み込みました。
なるほど、そういうことか!!読後は視界が一気に晴れ渡ります。
本当に久々に名作に行き当たりました。
閉塞した現状を打破するための、変革のリーダーシップを発揮するための、道筋が明快に示されています。
この本を読んだからといって問題解決能力がすぐに身に付くわけではないでしょうが、この書籍を読まずにいて悩んでいるより、一度、手に取ることをお勧めします。
本当に名著だと思います。
鬼軍曹のスパルタ読書教室
★★★★★
ジョン・P・コッターのリーダーシップに関する名著。
組織に変革をもたらすための方法が書かれています。
あんとれーず
★★★★★
21世紀の経営リーダーシップの改題。もっている人はお気を付け下さい。
ビジネス即効薬書店
★★★★★
企業変革に関わる基本書。8段階のステップはとてもわかりやすい。かつ、企業文化の変革が最後に来る、というのも実感通りです。
マーケッターの栄養源本舗
★★★★☆
これまでのマネジメント至上主義から、リーダーシップの重視へと方向転換を主張しています。 企業の変革では、変革を進めるプロセス、リーダーシップについて、いかに多くの社員が理解し共有するかがカギとなります。 マネジメントとリーダーシップの違いは、前者が、仕組みをうまく進めることに対し、後者は、組織の将来のあるべき姿を明らかにし、それに向けて人を動かすことにあります。 そういう意味で、変革を管理(マネジメント)するよりも、推進(リード)するほうが重要になってきます。リーダーこそが組織の無気力を除去し、活性化し、変革を文化にし得るのです。 そして、変革の成功は、多くの社員に支持され信望のあつい一人の英雄が導くのではありません。現代の企業では、リレーションが複雑すぎて一人のカリスマだけでは変革を実現できません。 カリスマの下で、多くの人材がリーダーシップを発揮し、周囲がその取組みに協力する。各自が責任の範囲でリーダーの計画に適切に参加するからこそ、変革は成功するのです。
経営品質向上委員会
★★★★★
バランス・スコアカードフォーラム会長からチェンジリーダーの棚に是非、と推薦されました。会長は、最近のBSC関連の講演でゴーン氏の「ルネッサンス」と共にこの本を薦めているとのことです。ビジネス書の古典として読みつがれる名著だと思います。
マーケッターの栄養源本舗
★★★★☆
これまでのマネジメント至上主義から、リーダーシップの重視へと方向転換を主張しています。 企業の変革では、変革を進めるプロセス、リーダーシップについて、いかに多くの社員が理解し共有するかがカギとなります。 マネジメントとリーダーシップの違いは、前者が、仕組みをうまく進めることに対し、後者は、組織の将来のあるべき姿を明らかにし、それに向けて人を動かすことにあります。 そういう意味で、変革を管理(マネジメント)するよりも、推進(リード)するほうが重要になってきます。リーダーこそが組織の無気力を除去し、活性化し、変革を文化にし得るのです。 そして、変革の成功は、多くの社員に支持され信望のあつい一人の英雄が導くのではありません。現代の企業では、リレーションが複雑すぎて一人のカリスマだけでは変革を実現できません。 カリスマの下で、多くの人材がリーダーシップを発揮し、周囲がその取組みに協力する。各自が責任の範囲でリーダーの計画に適切に参加するからこそ、変革は成功するのです。