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物語 現代経済学―多様な経済思想の世界へ (中公新書)

価格: ¥8,872
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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他人のお金で善いことをするのはやめよう ★★★★☆
「経済思想の多様性」を主軸に「現代経済学」を綴った読み物。著者は、
アメリカ型の経済学教育の導入による経済学の一元化が進み、自由な思考
にとって最も貴重な「多様性」が失われているという危機意識から、本書
を書いたそうです。

本書では、現代経済学の黎明期からの歴史やノーベル経済学賞の光陰と、
幅広いテーマで記述があります。その中で、特に印象に残ったのは、以下
の3点。

フリードマンの「レッセ・フェール」の経済哲学
『政府による統制活動が大幅に増大してきたのは、善意に満ち満ちた人々
が、社会のために善いことをしようとした結果、生み出されてきたのです。
これらの人々は善いことを達成するのに、自分たち自身のお金によってで
はなく、他人のお金でやろうとしたことに問題があったのです。このやり
方の欠点は二つあります。第一は、人々が他人のお金を自分のお金ほど注
意深く使うことを期待するのは不可能であること。第二は、他人のお金に
依存しようとするかぎり、結局は権力ないし警察力を行使しなくてはなら
なくなることです』

ブキャナンとワーグナーによるケインズ批判
『ケインズ経済学は、増税なしにどんどん歳出を増やしたいという、あら
ゆる政治家が持っている欲求に対する効果的な歯止めをなくし、政治家を
しまりなくさせてしまったのである。』

ガルブレイスの「満ち足りた選挙多数派」の考え方
『彼ら(満ち足りた選挙多数派)は、デモクラシーという装いのもとに支
配するが、そのデモクラシーには、恵まれていない人々は参加していない
のである。満足せる人々は決して黙ってはいない。彼らは自分たちの自己
満足状態を侵しそうなものに対しては、はっきりと怒りを示す。』そして、
近年における保守主義の復活は、リベラリズムからの一時的な「逸脱」で
はなく、「ゆたかさ」の結果として生じた必然となる。

最近の流行本には載っていない思想に出会える本です。
少し変わった視点からの二十世紀経済学史 ★★★★☆
この本は二十世紀の経済学の変遷を多様性という切り口で説明している面白い本だと思う。
経済学の歴史を紐解く本はたくさんあるが、有名な学者の理論をつどつど紹介していくのが普通だろう。
しかし本書は経済理論を簡単に説明しつつ、学者ごとの微妙な差異を丁寧に説明している。
その差異は理論的な違いもあるが、理論には出来ないような思想的な差異も紹介されている。
ケインズの有効需要の考え方の萌芽はすでに新古典派のマーシャルによって見出されていたなど、歴史の流れを感じさせてくれる。

個人的には、最近の人なのであまり省みられることの少ないサムエルソンに関して簡単ながら著者なりの評価をしている後半部分が面白いと思った。
他にもノーベル経済学賞に関する事柄も著者の意見がしっかりしており読み応えがある。
最後には参考文献が詳しく紹介されている。
経済学の多様性の重大さ ★★★★★
本書を読むことで経済学の多様性の重大さを知ることができるでしょう。経済学部の学生なら知っておいても損のないことばかりだと思います。
多様な経済学者の説を引用しているので知識がつくと思います。
まじめに経済学の将来を憂う ★★★★☆
 「物語」と銘打たれているように、本そのものは経済学者の考え方や逸話等があっさりと紹介されており抵抗なくすらすらと読んでいけます。ただ、経済学思想の本来の多様性を信じ、その一元化・形骸化を阻止しようという著者の危機意識がビシビシと伝わって来て気が抜けません。基礎となるミクロ・マクロ・計量経済学のハードトレーニングは当然としつつも、“主流”経済学に一見逆らうような異説にも寛容であれ、他領域の学問の成果にも謙虚かつ貪欲であれと説く著者の姿勢に、「教養」とは何かということを教えていただいたような気がいたします。ケインズやサムエルソンなどの大立者の著述・発言を縦横に引用されていますが、いずれも彼らの現状変革・警世の志や学問姿勢が良く判るものばかりで、巻末のブックガイドとともに格好の「水先案内人」の役割を果たしています。

 おそらく、学生諸君にも人気の高い教師でいらっしゃるのではないでしょうか。そんな気にさせられた一冊でした。
多様な経済思想の復権のために! ★★★★★
根井氏が1999年に刊行した『21世紀の経済学』の序文には、次のような発言がなされている。「いまの経済学者に決定的に欠落しているのは、広い意味での『社会哲学』なのではないか」と。本書はこうした主張を、過去の偉大な経済学者らの思想やその位置づけの再考を踏まえて、更に探求した作品であろう。アメリカ発の「経済学帝国主義」なるものに批判的に対峙すべく、主流派とは異なる「異端派」の経済学や、「代替的アプローチ」(レギュラシオン理論、複雑系経済学そして現代制度主義経済学など)にも目を配り、更には歴史学や社会学といった隣接諸科学との積極的交流を推進させることが重要であるという主張には全く同感である。筆者が唱える「多様性」・「相対化」とは、現在の経済学教育において支配的な(「制度化」された)経済学以外の理論や思想を重視するような「寛容の精神」のことであろうが、もう少し突っ込んだ解説がほしかった。経済理論や思想の歴史が重層的なものであり、豊かな経済学的思考は、「複眼的で動態的な眼」を養うことによって得られるということは、当然といえば当然だからだ。とはいえ、現時点において「多様性」や「相対化」という視点それ自体が希薄であるという問題意識には共感を覚えるし、本書がそうした危機感を読者に伝えるという使命を担っているということも理解できる。著者が、「ケインズとシュンペーターの総合」を試みている吉川洋氏の研究を高く評価しているという背景には、「需要面」と「供給面」が密接に連動していることを問い直し、彼らの問題関心を現代に復活させようとしているからである。こうした吉川氏の研究は、経済学史家にも「経済学の歴史を学ぶことの意味」を改めて考えさせる契機となろう。なお個人的には、第7章の「ノーベル経済学賞の憂鬱」が最も印象深い箇所であった。本書に触れることが多様な経済思想への入り口になればと願うばかりだ。