歴史をより身近なものとして捉えられるMAP
★★★★☆
京都は第2次世界大戦の空襲にはあっていませんが、応仁の乱などの大火によって、市内の平安時代の建物はかなり消失しております。蛤御門の変もそうでしょう。本書を眺めてみても、大内裏に関係する建物物は何もありません。
ただ、神泉苑は規模を縮小して同じ場所にあり、東寺は平安の世の姿を現在に保っています。六波羅密寺、六道珍皇寺、清水寺、三十三間堂(蓮華王院)は、寺領を小さくしながらも同じ場所に存在しているところが京都の凄い所です。東市の後に西本願寺や龍谷大学大宮学舎が建ち、愛宕念仏寺は清滝付近へと移っていきました。岡崎にあった法勝寺は現在の京都市立動物園になっていますが、鳥羽離宮近くの城南宮は同じ場所にあります。
このように平安京を思い起こしながら、地図を見てみると歴史の変遷のイメージがより具体的になり理解を助けてくれます。
本書の主な章立てを参考までに記します。京都タイムトリップマップ エリア図(平安時代)、平安時代四OO年 転変年表、平安前期へタイムトリップマップ、時代のトレンドは梅から桜へ!、平安貴族たちの衣食住に見る 唐風→移行中→国風、陰陽師 安倍晴明の真実の姿を追え! 平安びとの目 そして愛でた色彩が平成の世によみがえる(徳川美術館館長徳川義崇)、大和源氏の世界 そこには京都で得た“実感”の数々が織りこまれている(『あさきゆめみし』著者大和和紀)、『源氏物語』主要人物相関図、貴公子たちの恋路を追う、伝統の賀茂祭 儀式とルート、院政の主役たちの舞台を歩く、保元の乱 平治の乱、平家物語の舞台を歩く(六波羅、京内の平氏の拠点に迫る!)。
これらの読み物は、当時のイメージが分かる記述と図解になっており、親切な編集を施した歴史図鑑という趣を持っています。