このところ、韓国・朝鮮関係の書籍は非常に増えているが、その殆どは、歴史抜きのお遊び本や旅行ガイドか、韓国・朝鮮を侮辱するようなトンデモ本のどちらかであることが多い。本書はもう30年近くも前に出されたものだが、それだけに上記のいずれにも偏らない健全な歴史書である。改訂もされていないのにロングセラーを続けているのも頷ける。
時代を反映してやや社会主義的な立場で書かれている点は評価が分かれるであろうが、不見識な右翼的歴史観に惑わされないための解毒剤となりうる本である。偏見とは無知・不見識の別名なのであるから、韓国朝鮮への偏見を消去するにはその歴史━特に日本の学校では殆ど教えない通史━を正確に知ることが第一歩であろう。