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アレクサンドロスの征服と神話 (興亡の世界史)

価格: ¥674
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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アレクサンドロス大王研究の最良の手引き書 ★★★★★
本書の特色は、以下に挙げる二点になるかと思う。

まず、ひとつめ。
アレクサンドロス大王の本質へのアプローチを試みているという点ではこれまでの著者のスタンスと変わらないが、現在に至るまでに大王がどの様に語られてきたか、そのイメージがどの様に変化してきたか、という事を丁寧に考察している事。
続いてふたつめ。
地中海沿岸における『ヘレニズム』を確固たるモノにしたのがローマであるというのは定説だが、著者は更に一歩進んで、ガンダーラなどに代表される東方のヘレニズムもローマの遺産であると結論づけている点。

以上の二点であろう。非常に面白い本であり、専門家・専門以外の人・初学者いずれもが満足できること、疑いない。自信を持って一読をお勧めする。値段も、この本の質の高さを考えるならば、破額の安さと申しあげてよいだろう。
良書 ★★★★★
アレクサンドロス関係の概説書のなかでは、これが一番よいように思います。
高校の世界史に出てきた「通説」のアレクサンドロス像から、
史実へ一歩踏み込んだ彼の姿を把握することができる本。

好著かと思います。
古代史の中の女性たち ★★★★★
本書の中で私が一番好きなのは、大王なき後、王家の女性たちが激しい権力闘争の中を生き抜こうとするようすを描いた箇所である。
大王の死後、2人の王が分立したが、両者とも有力者の操り人形に過ぎなかった。王のひとり、大王の異母弟フィリッポス3世の妃となったアデア=エウリュディケは、少女のころから軍事訓練を受けてきた弱冠20歳の軍人王妃である。彼女は、知的章害のある夫を差し置いて、生き残りをかけ有力者カッサンドロスと同盟するが、大王の母オリュンピアスと戦う前に兵士が降参し、あっさりと捕虜となり自刷を強要されてしまう。彼女以外にも、後継者戦争が終わるまでに、大王の妃、愛人、妹たち、マケドニア王家の女性たちは全員が非業の最後を遂げてしまうのである。
とはいえ、よく知られているローマ時代のクレオパトラ7世を除くと、古代史においてこのように女性たちが主体的に行動することはきわめて稀なことであり、彼女たちの生き様に私は惹きつけられた。
先生の講義のおもしろさは、実証的で冷静な語り口の中に魅力的なドラマを内包させているところであり、本書もよくその特長が出ていて、今後アレクサンドロス研究にかかわる人の基本書となると同時に、一般向けの本としても十分に歴史の魅力が伝わるものとなっている。なお、本書はアレクサンドロス研究の全体を扱っているので、マケドニア王家の女性たちと後継者戦争について知りたい場合は『王妃オリュンピアス』により詳しい。
アレクサンドロスについての好著。 ★★★★☆
従来の世界史の全集は浅く広くという感じだったが、このシリーズは書名のテーマを深く掘り下げ一冊全てを使い書かれているところが新鮮に感じました。

アレクサンドロス大王というと、高校の世界史の教科書に出てくる理想的な英雄というイメージが強かったのですが、本書を読みいろいろ再認識させられました。学問の師であるアリストテレスの帝王学とは最初から乖離していた事。東方遠征論はアレクサンドロス以前からギリシア世界にあった事実。ペルシアで華美になった一因にはアジアを統治するためという側面もあった。一般に語られているペルセポリス放火は俗説であり、資料に裏づけられた可能性の高い推論など興味深い事ばかりでした。著者はアレクサンドロス関係の本も多数書いており、日本の学者でここまで詳細に書ける人は少ないと思える中身の濃い一冊でした。
巻末の索引、参考文献も充実しています。

星5つとしなかったのは図版がモノクロ(中央公論はカラー)だった事と、例えば294ページで紹介している最初の4ドラクマ銀貨など、本文を読んで是非載せてほしい図版がなかった事です。
アレクサンドロス大王とヘレニズム文化の実像にせまる ★★★★★
 講談社の新構想による「興亡の世界史」シリーズの第二回配本。
 
 今回は特に古代史でもっとも有名な英雄の一人であるアレクサンドロス大王とヘレニズム文化の実像にせまる。
 英雄視され、多くの場で語られてきた大王と当方遠征事業はむろん、偉業ではあるが、本書はあくまで実証的な資料批判や公平な立場から、従来の立場を乗りこえて迫っていく。
 大王の伝記は後のローマ時代のものであったり、これまでの歴史観が必要以上にギリシア・ローマよりであるなどの問題があったが、本章は1つ1つ丁寧にこれらのバイアスを取り除き、大王とヘレニズム文化の本質的な意義を明らかにしていく。
 偉大な英雄ではあるが神ではなく、感情をもち、悩んだアレクサンドロスの姿や、正当な世界の諸文化の中に位置づけられる東方遠征やヘレニズム文化の正しい理解は、混沌とした21世紀の世界を理解する機会を与えてくれる。

 年表や参考文献も充実しており、図表や写真も豊富で、想像力をかきたててくれる。